MASLDに対する肝移植におけるSLD再発と周術期栄養管理の課題
【背景】近年,代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)に対する肝移植症例が増加傾向にある.MASLDの背景には肥満や2型糖尿病をはじめとする代謝異常リスク因子が存在し,周術期の栄養管理と移植後の脂肪性肝疾患(SLD)再発予防が課題となる.【対象・方法】1996年以降当施設で肝細胞性疾患に対して肝移植を施行した527例を検討.【結果】原疾患はHBV 138例(26%),HCV 263例(50%),ALD /MetALD73例(14%),MASLD 33例(6%),Cryptogenic 20例(4%).HBVのうち13例(9%),HCVの32(12%)例,ALDの26例(38%)にMASLDの併存...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s210_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s210_1 |
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Summary: | 【背景】近年,代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)に対する肝移植症例が増加傾向にある.MASLDの背景には肥満や2型糖尿病をはじめとする代謝異常リスク因子が存在し,周術期の栄養管理と移植後の脂肪性肝疾患(SLD)再発予防が課題となる.【対象・方法】1996年以降当施設で肝細胞性疾患に対して肝移植を施行した527例を検討.【結果】原疾患はHBV 138例(26%),HCV 263例(50%),ALD /MetALD73例(14%),MASLD 33例(6%),Cryptogenic 20例(4%).HBVのうち13例(9%),HCVの32(12%)例,ALDの26例(38%)にMASLDの併存を認め,pure-MASLDとMetALDを含む108例(コホート全体の20%)がMASLDの基準を満たした.MASLDとnon-SLDの移植後5年SLD発生率はそれぞれ58%と24%であり,baseline MASLD症例は高率に移植後SLD再発をきたした.MASLD関連の遺伝子多型のほか、肥満,サルコペニア因子、代謝異常リスクの合併が移植後SLDの発生に影響した.【考察】当施設では肝移植周術期に積極的な栄養管理とリハビリテーションを導入し,移植後成績は向上してきているが,移植後の代謝異常リスクとSLDの発生は依然として課題となっている。移植後の継続的な栄養指導と免疫抑制剤の副作用管理が重要であり,体成分分析や画像診断等の客観的な指標による代謝リスクのモニタリングの有用性が示唆された.【結語】MASLDの肝移植周術期において,多職種連携と集学的アプローチによる代謝リスクの管理が重要である. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s210_1 |