生体腎移植術後の心血管疾患と大動脈腸骨石灰化カルシウムスコアの関連
【背景】心血管疾患(CVD)は腎移植後の死亡原因として最も多く、術後フォローアップにおいて注意が必要である。大動脈腸骨動脈石灰化はCVDの発症と関連があると報告があるが、部位ごとの石灰化と心血管疾患の発症に関する報告は少ない。【目的】各部位における石灰化カルシウムスコアと心血管疾患の発症の関連を評価した。【方法】2009年5月から2023年5月までに当院で施行した初回生体腎移植のうち157例のうち、術前に5mmスライスのCTを撮影していた104例を対象とした。CVDはWHOに準拠した。石灰化カルシウムスコアはSYNAPSE VINCENT (Fujifilm Medical) を用いてAgat...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s326_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s326_1 |
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Summary: | 【背景】心血管疾患(CVD)は腎移植後の死亡原因として最も多く、術後フォローアップにおいて注意が必要である。大動脈腸骨動脈石灰化はCVDの発症と関連があると報告があるが、部位ごとの石灰化と心血管疾患の発症に関する報告は少ない。【目的】各部位における石灰化カルシウムスコアと心血管疾患の発症の関連を評価した。【方法】2009年5月から2023年5月までに当院で施行した初回生体腎移植のうち157例のうち、術前に5mmスライスのCTを撮影していた104例を対象とした。CVDはWHOに準拠した。石灰化カルシウムスコアはSYNAPSE VINCENT (Fujifilm Medical) を用いてAgatston scoreを部位ごとに計算した。大動脈は腎動脈レベルから分岐部まで、総腸骨動脈は内外腸骨動脈分岐部まで、外腸骨動静脈は下腹壁動脈分岐部まで、内腸骨動脈は分枝も含めた骨盤内の動脈と定義した。【結果】年齢の中央値は52歳(IQR:42-62)、男性65例であった。CVDは25例に発症し、心疾患が23例、脳血管疾患が8例、末梢血管疾患が5例、脳血管疾患が4例発症した。CVD群では非CVD群にくらべ大動脈、総腸骨動脈、内腸骨動脈領域の石灰化スコアが高く(P=0.02, 0.003, 0.001)、内腸骨動脈の石灰化が最もCVD発症と関連していた(ROC下面積:0.70)。【考察】移植後において、内腸骨動脈域の石灰化とCVDの関連を示した報告は少ないが、最もCVD発症と相関する可能性がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s326_1 |