アルコール性肝硬変に対する脳死肝移植後長期経過例の成績 ~社会復帰を阻む再飲酒問題
背景:アルコール性肝硬変(ALD)患者は、一定条件を満たせば脳死肝の提供を受けることが可能である。当施設のALD脳死肝移植(DDLT)後長期経過例の問題点を報告する。方法:ALDにDDLTを施行後4年以上経過例を後方視的に調査した。当院の移植条件は、18か月の断酒、家族と同居(支援)、術前に精神科医と面談し書面で断酒誓約をすること等である。結果:該当症例は6例(同時期DDLT36例の17%)。1例は経過良好、3例が再飲酒(本人申告)による肝機能障害、2例が原因不明の肝機能障害を発症した。本人申告の再飲酒例(症例1、2、3)は、全例40歳代、男/女性1/2例。断酒期間(34、26、19か月)を確...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s139_1 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s139_1 |
Cover
Summary: | 背景:アルコール性肝硬変(ALD)患者は、一定条件を満たせば脳死肝の提供を受けることが可能である。当施設のALD脳死肝移植(DDLT)後長期経過例の問題点を報告する。方法:ALDにDDLTを施行後4年以上経過例を後方視的に調査した。当院の移植条件は、18か月の断酒、家族と同居(支援)、術前に精神科医と面談し書面で断酒誓約をすること等である。結果:該当症例は6例(同時期DDLT36例の17%)。1例は経過良好、3例が再飲酒(本人申告)による肝機能障害、2例が原因不明の肝機能障害を発症した。本人申告の再飲酒例(症例1、2、3)は、全例40歳代、男/女性1/2例。断酒期間(34、26、19か月)を確認後DDLT登録し、26、101、154日目に脳死肝(全/分割肝2/1例)の提供を受けた。それぞれ術後48、48、61日目に退院、12、5、2か月目に肝機能障害を呈し、22、18、16か月目に再飲酒の申告(発覚)があった。全例精神科医が介入したが、症例1は就業中ながら肝機能障害が継続、症例2は移植後60か月に末期肝硬変で死亡した。症例3のみ、家庭環境改善にて断酒が可能となり肝機能が正常化、社会復帰を果たした。結語:ALD患者のDDLT後社会復帰を阻む再飲酒問題は、当施設では依然大きな課題であり、移植条件の再考や術後患者へのさらなる支援が必要と考えている。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s139_1 |