慢性肝疾患患者が肝移植により長期生存を得るために

【背景】MELD高値の重症例は肝移植後の予後不良因子とされている.本研究では,肝移植前MELD高値の予後への影響を検討することに加えて,肝移植を受けられなかった患者の因子についても検討することで,肝硬変患者に対する肝移植のベストアプローチを探索する. 【方法】対象は当院に2009年から2023年に肝移植目的で受診し,その後もフォローしている慢性肝疾患を有する成人患者.肝移植を施行できた患者における1年生存に関する因子,および,紹介患者における肝移植施行有無に関する因子について検討した. 【結果】対象は393例.年齢(中央値,範囲)は50歳(18-68歳),女性161例(41.0%),初診時のM...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s198_1
Main Authors 八木, 洋, 高岡, 千恵, 堀, 周太郎, 阿部, 雄太, 田中, 真之, 藤野, 明浩, 北川, 雄光, 中野, 容, 中本, 伸宏, 尾城, 啓輔, 長谷川, 康, 山田, 洋平, 篠田, 昌宏, 尾原, 秀明, 北郷, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s198_1

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Summary:【背景】MELD高値の重症例は肝移植後の予後不良因子とされている.本研究では,肝移植前MELD高値の予後への影響を検討することに加えて,肝移植を受けられなかった患者の因子についても検討することで,肝硬変患者に対する肝移植のベストアプローチを探索する. 【方法】対象は当院に2009年から2023年に肝移植目的で受診し,その後もフォローしている慢性肝疾患を有する成人患者.肝移植を施行できた患者における1年生存に関する因子,および,紹介患者における肝移植施行有無に関する因子について検討した. 【結果】対象は393例.年齢(中央値,範囲)は50歳(18-68歳),女性161例(41.0%),初診時のMELDは16(6-38)であった.164例(41.7%)が肝移植を受け,肝移植時のMELDは19(6-45)であった.術前ICU管理を要した患者の1年生存は有意に不良(33.3%, P=0.007)であったが,MELDを含む他の因子においては差が無かった.肝移植に至らなかった危険因子は,男性(34.9%, P=0.001),背景肝疾患NASH(17.0%, P=0.003),初診時のMELD高値(単位オッズ比1.053, P=0.002)であった.また,初診時にMELD高値であったとしても,移植施行後の生存率には差が無かった. 【結論】慢性肝疾患患者が肝移植により長期生存を得るためには,非代償性肝硬変と診断されたら早期に肝移植施設へ紹介することが重要である.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s198_1