生体腎移植後に血栓性微小血管症を来した2例
腎移植後に発症する血栓性微小血管症は移植直後から発症し、移植腎喪失に至る可能性がある疾患である。当科で生体腎移植を施行した患者のうち、血液型不適合症例2例に血栓性微小血管症を発症した。血栓性微小血管症の定義は、ヘモグロビン値低下、血小板減少、急性腎障害の3徴を満たすものとした。1例目は37歳、男性で、脱感作療法(リツキシマブ、二重濾過血漿交換)を行った後に腎移植を施行した。術後1日目よりヘモグロビン値低下、ハプトグロビン低下、LDH上昇、血小板減少を認め、ハプトグロビン補充と免疫グロブリン投与を開始した。術後3日目より尿量低下、クレアチニン値上昇を認め、血漿交換を計4回行った。呼吸不全も合併し...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s364_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s364_3 |
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Summary: | 腎移植後に発症する血栓性微小血管症は移植直後から発症し、移植腎喪失に至る可能性がある疾患である。当科で生体腎移植を施行した患者のうち、血液型不適合症例2例に血栓性微小血管症を発症した。血栓性微小血管症の定義は、ヘモグロビン値低下、血小板減少、急性腎障害の3徴を満たすものとした。1例目は37歳、男性で、脱感作療法(リツキシマブ、二重濾過血漿交換)を行った後に腎移植を施行した。術後1日目よりヘモグロビン値低下、ハプトグロビン低下、LDH上昇、血小板減少を認め、ハプトグロビン補充と免疫グロブリン投与を開始した。術後3日目より尿量低下、クレアチニン値上昇を認め、血漿交換を計4回行った。呼吸不全も合併したためICU管理を要したが、その後は腎機能改善傾向となり、移植腎喪失なく、術後48日目に退院となった。2例目は59歳、男性で、脱感作療法(リツキシマブ、二重濾過血漿交換)を行った後に腎移植を施行した。術後1日目より、ヘモグロビン値低下、血小板減少、尿量低下、クレアチニン値上昇を認め、ボルテゾミブ投与し、血漿交換を計5回行った。免疫グロブリン補充、シクロスポリンへの免疫抑制剤の変更なども行い、ヘモグロビン値や血小板の改善は認めたが、腎機能の改善には至らず、移植腎喪失となった。今回、腎移植後に発症した血栓性微小血管症の2例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s364_3 |