個別最適な学びの現状と課題—青森県内小学校・中学校・高等学校へのアンケート調査から

本研究の目的は,青森県内の小・中・高等学校英語科教員を対象に,個別最適な学びに関するアンケート調査を行い,その現状と課題を明らかにすることである。調査の結果,個別最適な学びについての取組状況が不十分で多くの課題があることが明らかになったが,その現状が3校種間で大きな差がなかったことは新たな知見であった。そして,個別最適な学びについての趣旨理解や具体的な指導法に関する知識が不十分であることが積極的で適切な取組が行われていない根本的な原因であることが指摘された。これらの課題解決には教員数不足を単に人数を増やす等の対症療法的な対策ではなく,例えば生成AIやメタバースなどの最新のテクノロジーを駆使した...

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Published in東北英語教育学会研究紀要 Vol. 45; pp. 65 - 76
Main Authors 丹藤, 慧也, 丹藤, 永也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北英語教育学会 31.03.2025
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ISSN1346-2504
2758-5514
DOI10.57539/telesjournal.45.0_65

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Summary:本研究の目的は,青森県内の小・中・高等学校英語科教員を対象に,個別最適な学びに関するアンケート調査を行い,その現状と課題を明らかにすることである。調査の結果,個別最適な学びについての取組状況が不十分で多くの課題があることが明らかになったが,その現状が3校種間で大きな差がなかったことは新たな知見であった。そして,個別最適な学びについての趣旨理解や具体的な指導法に関する知識が不十分であることが積極的で適切な取組が行われていない根本的な原因であることが指摘された。これらの課題解決には教員数不足を単に人数を増やす等の対症療法的な対策ではなく,例えば生成AIやメタバースなどの最新のテクノロジーを駆使した新たな発想による取組が必要だとし,その上で4つの解決策を示した。1つめは教員が個別最適な学びに対応できる専門性を身に付けることである。例えば多様な指導が必要な児童生徒への対応には専門的な知識と経験が必要である。2つめは学校全体での取組が必要だということである。横軸となる教科間・教員間で情報共有しながら協働することが求められる。3つめは校種間連携である。教科特有の課題については縦軸となる英語科における校種間での情報共有が必要である。4つめは教員個人の努力では解決できない要因についての行政側のサポートである。そして,本研究で示されたように教員は多くの課題を抱える苦しい状況にあっても,個別最適な学びについての必要性,重要性を強く認識し,自身も変わらなければならないという意識を持っていることから,教員を支えるシステム作りが最も重要な課題であると言える。
ISSN:1346-2504
2758-5514
DOI:10.57539/telesjournal.45.0_65