小腸移植腸管における免疫細胞解析
【諸言】小腸移植後はドナー由来細胞(D細胞)とレシピエント由来細胞(R細胞)が血液中に混在していることが知られているが、移植腸管においては明らかではない。【方法】小腸移植を施行した6例において小腸検体を採取しsingle cell RNA-seq解析を行なった。single nucleotide polymorphism (SNP)を利用し D細胞とR細胞を識別し、遺伝子発現を解析した。【結果】小腸移植後1年が2例、移植後5年以上経過した症例が4例だった。全検体を統合して解析した結果免疫細胞が12のクラスターに分類されたが、細胞構成は症例により異なっていた。さらに詳細な解析では、移植後5年以上...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s220_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s220_1 |
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Summary: | 【諸言】小腸移植後はドナー由来細胞(D細胞)とレシピエント由来細胞(R細胞)が血液中に混在していることが知られているが、移植腸管においては明らかではない。【方法】小腸移植を施行した6例において小腸検体を採取しsingle cell RNA-seq解析を行なった。single nucleotide polymorphism (SNP)を利用し D細胞とR細胞を識別し、遺伝子発現を解析した。【結果】小腸移植後1年が2例、移植後5年以上経過した症例が4例だった。全検体を統合して解析した結果免疫細胞が12のクラスターに分類されたが、細胞構成は症例により異なっていた。さらに詳細な解析では、移植後5年以上経過した4症例において、安定した経過の3例ではR細胞は97%以上だったが、慢性的なグラフト小腸潰瘍を有する1症例では潰瘍病変からD細胞が22%検出され、CD4+T細胞および形質細胞が多くみられた。また移植後1年経過した2症例では、1例はR細胞の割合が99%となっていたが、経過中にPTLDを発症し化学療法を施行した症例では、寛解期の正常グラフト内にD細胞が57%と多く残存していた。いずれもグラフト機能は維持されていた。【結論】single cell RNA-seq解析を改良し解析することでグラフト腸管内にはD細胞が移植後も長期に存在していることが判明した。しかし各症例によりその比率および細胞の構成比率は異なっており、病態と関連づけることが今後の課題である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s220_1 |