肝硬変治療に向けた硬変肝由来リプログラミング化ヒト肝前駆細胞移植治療の確立

【目的】我々は特定の小分子化合物刺激にて臨床肝組織より分離した成熟肝細胞がリプログラミング化し、増殖性ならびに肝分化能を有する肝前駆細胞(CLiP)を作製できることを明らかにした。そこで本研究では、ヒト肝硬変患者より作製したヒトCLiP移植における肝硬変に対する治療効果について検討した。【方法】肝硬変患者における肝手術切片より分離したヒト成熟肝細胞よりヒトCLiPを作製し、FACSにて特性を評価、ならびに免疫不全NASH肝硬変モデルマウスに経脾移植し治療効果につき検討した。【結果】分離したヒト成熟肝細胞を低分子化合物添加培地にて培養すると細胞集団の80%以上が前駆細胞マーカー(EpCAMとCD...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s376_3
Main Authors 長井, 一浩, 三好, 孝之, 丸屋, 安広, 松隈, 国仁, 宮本, 大輔, 松島, 肇, 江口, 晋, 今村, 一歩, 福本, 将之, 原, 貴信, 曽山, 明彦, 落谷, 孝広, 足立, 智彦, 日高, 匡章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s376_3

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Summary:【目的】我々は特定の小分子化合物刺激にて臨床肝組織より分離した成熟肝細胞がリプログラミング化し、増殖性ならびに肝分化能を有する肝前駆細胞(CLiP)を作製できることを明らかにした。そこで本研究では、ヒト肝硬変患者より作製したヒトCLiP移植における肝硬変に対する治療効果について検討した。【方法】肝硬変患者における肝手術切片より分離したヒト成熟肝細胞よりヒトCLiPを作製し、FACSにて特性を評価、ならびに免疫不全NASH肝硬変モデルマウスに経脾移植し治療効果につき検討した。【結果】分離したヒト成熟肝細胞を低分子化合物添加培地にて培養すると細胞集団の80%以上が前駆細胞マーカー(EpCAMとCD133)陽性細胞となった。NASHモデルへのヒトCLiP経脾投与にて、4週目以降で抗ヒトALB染色にて成熟肝細胞へと分化が確認され、血中ヒトアルブミンの増加(CLiP移植群:300 ng/mL)ならびに障害マーカー(ASTならびにALT)の減少を確認した。さらにNASH肝硬変モデルの肝内コラーゲン線維面積の減少を示した(コントロールvs CLiP移植群 = 108,332 vs 48,308, p=0.05)。【考察】肝硬変患者より作製したヒトCLiPは肝機能改善ならびに肝線維化抑制効果を有していることが明らかとなり、ヒトCLiP移植は硬変換改善に有効な治療法であることを示した。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s376_3