腎移植医として知っておくべき遺伝子検査:FSGS
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は1)血中循環因子を原因とする一次性(primary)FSGS、2)低形成腎などによる二次性(secondary)FSGS、3)遺伝性(genetic)FSGSに分類される。このうち、primary FSGSは移植後に高率に再発しグラフトロスの原因となるのに対し、secondaryおよびgenetic FSGSではほぼ再発がないため、移植前にこれらを鑑別することはきわめて重要である。既報では小児期発症FSGSの腎移植患者の43%がgenetic FSGSであったと報告されている(CJASN 2019)。一方、当科の検討では2009~2022年のFSGS移植例3...
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          | Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s179_1 | 
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| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本移植学会
    
        2024
     | 
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| ISSN | 0578-7947 2188-0034  | 
| DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s179_1 | 
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| Summary: | 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は1)血中循環因子を原因とする一次性(primary)FSGS、2)低形成腎などによる二次性(secondary)FSGS、3)遺伝性(genetic)FSGSに分類される。このうち、primary FSGSは移植後に高率に再発しグラフトロスの原因となるのに対し、secondaryおよびgenetic FSGSではほぼ再発がないため、移植前にこれらを鑑別することはきわめて重要である。既報では小児期発症FSGSの腎移植患者の43%がgenetic FSGSであったと報告されている(CJASN 2019)。一方、当科の検討では2009~2022年のFSGS移植例31例中22例(71%)がgenetic FSGSであり、2016年以降にしぼると17例中15例(88%)がgenetic FSGSであった。近年の固有腎におけるprimary FSGSの治療の進歩を反映している可能性がある。このように、FSGSの移植患者では遺伝子変異を検出する割合が高く、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析が奨められる。一方で、コストや遺伝カウンセリング体制の問題などから、遺伝子解析が困難な症例も存在する。当科の検討では、1)ネフローゼ症候群、2)電顕像におけるびまん性の足突起消失、3)ステロイドまたは免疫抑制治療による寛解の既往のいずれか1つでも満たさない場合、遺伝子変異を有する可能性がきわめて高いことを報告した(Pediatr Nephrol 2023)。このことは遺伝子解析の方針を決定するうえでも非常に有用と考えられる。 | 
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034  | 
| DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s179_1 |