鏡視下後腹膜ドナー腎採取術(RDN)と腎周囲脂肪(PNF)の関連

【はじめに】CT値はX線吸収率を数値化したもので、脂肪は-100程度で黒く、白くなるにつれCT値が高くなる。今回我々は腎移植ドナーの術前CTでPNFを評価しRDNの手術時間との関連をretrospectiveに検討した。【対象および方法】虎の門病院腎センター外科で2016年から2023年に施行したRDN 227例のうちBMIが25以上の48例を対象とした。手術時間の平均値は207.5分で、これ以上を長時間群(L群;N=25)、未満を短時間群(S群;N=23)とした。この2群間の年齢、性別、BMI、グラフト左右、腎動脈本数、PNFの厚さ、PNF面積、PNF CT値(Hounsfield unit...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s282_3
Main Authors 中村, 有紀, 石井, 保夫, 三木, 克幸, 横山, 卓剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s282_3

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Summary:【はじめに】CT値はX線吸収率を数値化したもので、脂肪は-100程度で黒く、白くなるにつれCT値が高くなる。今回我々は腎移植ドナーの術前CTでPNFを評価しRDNの手術時間との関連をretrospectiveに検討した。【対象および方法】虎の門病院腎センター外科で2016年から2023年に施行したRDN 227例のうちBMIが25以上の48例を対象とした。手術時間の平均値は207.5分で、これ以上を長時間群(L群;N=25)、未満を短時間群(S群;N=23)とした。この2群間の年齢、性別、BMI、グラフト左右、腎動脈本数、PNFの厚さ、PNF面積、PNF CT値(Hounsfield unit: HU)を比較した。【結果】L群とS群で有意差が出たのはPNFの厚さ(PNF Lateral; P=0.023、PNF Dorsal; P=0.0009)、PNF面積(P=0.002)、PNF CT値(P=0.0007)であった。また、多変量解析ではPNF CT値が手術時間延長に寄与する因子であった(P=0.036)。【考察】MAP score高値がRDNの手術時間延長に関与し、白く毛羽だったPNFはAdherent Perinephric Fat(APF)と呼ばれる。PNF CT値はAPFを数値化したものと考えられる。【結語】PNF CT値がRDNの手術時間延長に寄与した。PNFの術前評価はRDNの難易度予測に有用である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s282_3