マージナルドナーにおける腎体積および腎病理組織と残腎機能の関連

【目的】今回我々は生体ドナー、特にマージナルドナーにおける分腎評価と腎病理組織の特徴について調査した。【方法】2006年~2022年の期間に当科でドナー腎採取術を実施した生体ドナーで術前腎体積と1時間生検病理標本が解析可能であった128例を対象とした。患者背景情報や検査データを電子カルテより収集した。腎体積は術前CTを用いてSYNAPSE VINCENTで算出し、組織学的評価は単一病理医により評価した。マージナルドナー基準は生体腎移植のドナーガイドラインに準じた。【結果】128例中標準ドナーが89例でマージナルドナーが39例であった。腎体積パラメータは2群間で有意な差はなく、腎病理では間質炎症...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s353_1
Main Authors 米田, 龍生, 森澤, 洋介, 大西, 健太, 井上, 國彰, 後藤, 大輔, 富澤, 満, 田中, 宣道, 中井, 靖, 藤本, 清秀, 三宅, 牧人, 堀, 俊太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s353_1

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Summary:【目的】今回我々は生体ドナー、特にマージナルドナーにおける分腎評価と腎病理組織の特徴について調査した。【方法】2006年~2022年の期間に当科でドナー腎採取術を実施した生体ドナーで術前腎体積と1時間生検病理標本が解析可能であった128例を対象とした。患者背景情報や検査データを電子カルテより収集した。腎体積は術前CTを用いてSYNAPSE VINCENTで算出し、組織学的評価は単一病理医により評価した。マージナルドナー基準は生体腎移植のドナーガイドラインに準じた。【結果】128例中標準ドナーが89例でマージナルドナーが39例であった。腎体積パラメータは2群間で有意な差はなく、腎病理では間質炎症と間質線維化/尿細管委縮がマージナルドナーで多く観察された(P=0.031、P=0.041)。生体ドナー全体では残腎体積/体表面積が術後1年の腎機能温存を予測する独立予測因子(P=0.002)で、マージナルドナーでは残腎体積/体表面積および腎病理の動脈硬化が残腎機能の予測因子であった(P=0.010、P=0.025)。また移植腎予後については、マージナルドナーからの腎提供が有意に予後不良であった(P=0.0019)。【考察】残腎体積/体表面積および腎動脈硬化病変は生体ドナーの腎予後を推測する上で重要であることが示唆された。生体ドナーの選択やフォローアップにおいて、これらを考慮して治療を計画することが、生体ドナーおよびレシピエントの予後改善につながる可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s353_1