肺移植医療における感染症内科医との連携
移植後は免疫抑制剤が開始となることから、レシピエントにおいて感染症の制御は重要である。肺移植は免疫抑制薬の投与量も多く、また外界と直接接している臓器であるため感染症の予防と治療に苦慮する症例が多い。当院では感染症内科と密に連携して、移植後の感染対策マニュアルならびに感染予防薬のプロトコールを作成している。感染対策マニュアルに関しては、従来使用していたものを感染症内科と相談し、患者や移植医療が初めての医師にもわかる内容に改訂中である。入院中のカテゴリー分類による感染対策から、退院後の日常生活や食事に関する部分まで指導する内容である。 感染予防薬プロトコールに関しても、従来のものからエビデンスを明...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s176_1 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s176_1 |
Cover
Summary: | 移植後は免疫抑制剤が開始となることから、レシピエントにおいて感染症の制御は重要である。肺移植は免疫抑制薬の投与量も多く、また外界と直接接している臓器であるため感染症の予防と治療に苦慮する症例が多い。当院では感染症内科と密に連携して、移植後の感染対策マニュアルならびに感染予防薬のプロトコールを作成している。感染対策マニュアルに関しては、従来使用していたものを感染症内科と相談し、患者や移植医療が初めての医師にもわかる内容に改訂中である。入院中のカテゴリー分類による感染対策から、退院後の日常生活や食事に関する部分まで指導する内容である。 感染予防薬プロトコールに関しても、従来のものからエビデンスを明記し、治療薬と治療期間を明示する内容に改訂している。一方、上記の予防薬を投与していても術後肺炎を起こし感染制御に難渋することがある。また、ある種の抗菌薬は免疫抑制薬の濃度に大きく影響するため、その使用の開始ならびに変更に関する判断は難しい。当院の感染症内科はオンコール体制で24時間365日相談可能であるため、週末や夜間であっても迅速に対応できる環境となっている。このように肺移植後感染症に関して感染症内科医との連携によりマニュアル化が進んでいる。同様に免疫抑制薬を含めた移植後管理の均一化と診療科での共有に取り組むことで、肺移植診療の効率化と働き方改革への対応を目指している。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s176_1 |