腰椎変性すべり症に伴う腰部脊柱管狭窄症には,通常の除圧術では不十分である.Chevron部まで除圧が必要な理由

「腰椎変性すべり症に伴う腰部脊柱管狭窄症」(DS)では,「伴わない腰部脊柱管狭窄症」(NDS)では起こらないChevron部の狭窄が起こりえる.目的は,DSとNDSとのChevron部狭窄の違いを明らかにし,DSに対する除圧術のポイントを明示する事である.対象は,変性すべり症群(DS群)103例,非変性すべり症群(NDS群)52例.脊髄造影立位側面像にて,L4椎弓Chevron部尾側端からのL4椎体後壁への距離(A)とL4/5椎間板への最短距離(B)より,B/A(Chevron-椎間板間狭窄比)を算出.L4椎体高(C)と椎間板の頭側膨隆距離(D)から,D/C(椎間板頭側膨隆度)を算出.群間比較...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 16; no. 8; pp. 1087 - 1093
Main Authors 中川 智刀, 徳永 雅子, 髙橋 永次, 兵藤 弘訓, 佐藤 哲朗, 星川 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.08.2025
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2025-3051

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Summary:「腰椎変性すべり症に伴う腰部脊柱管狭窄症」(DS)では,「伴わない腰部脊柱管狭窄症」(NDS)では起こらないChevron部の狭窄が起こりえる.目的は,DSとNDSとのChevron部狭窄の違いを明らかにし,DSに対する除圧術のポイントを明示する事である.対象は,変性すべり症群(DS群)103例,非変性すべり症群(NDS群)52例.脊髄造影立位側面像にて,L4椎弓Chevron部尾側端からのL4椎体後壁への距離(A)とL4/5椎間板への最短距離(B)より,B/A(Chevron-椎間板間狭窄比)を算出.L4椎体高(C)と椎間板の頭側膨隆距離(D)から,D/C(椎間板頭側膨隆度)を算出.群間比較した.Chevron-椎間板間狭窄比と変性すべり度との相関関係を検討.結果,DS群,NDS群で各々平均Chevron-椎間板間狭窄比:59%,93%,平均椎間板頭側膨隆度:13%,3%であり,有意差があった.Chevron-椎間板間狭窄比と変性すべり度との負の相関関係も認められた.以上よりDSへの除圧術は,Chevron部まで開窓を行い,ときに椎弓切除を行うことがポイントとなる.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2025-3051