抗血栓薬内服患者の頚椎頚髄損傷

はじめに:高齢化に伴い,循環器疾患や脳血管疾患に対して抗血栓薬を内服している患者が増加している.頚椎頚髄損傷において,抗血栓薬内服の影響を明らかにすることを目的とした.方法と対象:当院で手術加療を行った頚椎頚髄損傷425例を対象とした.抗血栓薬を受傷時に内服していた内服群46例と内服していなかった非内服群379例で比較検討した.検討項目は受傷時年齢,受傷機転,損傷形態,手術内容,周術期合併症,初診時と最終経過観察時のAIS分類である.結果:受傷時の平均年齢は内服群が75.4歳で非内服群の62.0歳に比べて高かった(p < 0.01).術中平均出血量は内服群が178 mlと非内服群の118 ml...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 16; no. 9; pp. 1168 - 1172
Main Authors 矢形 幸久, 森田 卓也, 多田 圭太郎, 瀧川 朋亨, 梶木 裕矢, 伊藤 康夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.09.2025
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2024-0026

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Summary:はじめに:高齢化に伴い,循環器疾患や脳血管疾患に対して抗血栓薬を内服している患者が増加している.頚椎頚髄損傷において,抗血栓薬内服の影響を明らかにすることを目的とした.方法と対象:当院で手術加療を行った頚椎頚髄損傷425例を対象とした.抗血栓薬を受傷時に内服していた内服群46例と内服していなかった非内服群379例で比較検討した.検討項目は受傷時年齢,受傷機転,損傷形態,手術内容,周術期合併症,初診時と最終経過観察時のAIS分類である.結果:受傷時の平均年齢は内服群が75.4歳で非内服群の62.0歳に比べて高かった(p < 0.01).術中平均出血量は内服群が178 mlと非内服群の118 mlに比べ有意に多かった(p < 0.05).周術期の全身合併症発生率は内服群が52.2%,非内服群が33.0%と内服群の方が有意に高かった.両群間で受傷転機,損傷形態,手術時間,麻痺の改善,血栓症発生率に大きな違いを認めなかった.結語:抗血栓薬を要する虚血性血管疾患を有する高齢者の頚椎頚髄損傷では,術中出血が多くなりやすく,術後高率に全身合併症が起こることを認識しておく必要がある.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-0026