特異な経過をたどる腎移植後サイトメガロウィルス感染症についての検討

【目的】CMV感染症の特徴を調査し、治療に役立てること。【対象】2002年1月から2024年4月までに行った157の腎移植のうち、CMV serostatus が明らかな147例。【方法】移植後はCMV antigenemiaでスクリーニングを行い、感染の時点で先行的治療を始めている。感染細胞数≧10を感染とカウントし、<10で感染収束と判断した。PCR法については一部の症例で実施している。【結果】対象の性は93/54(M/F)、年齢は49(19-79)歳、serostatusはドナー、レシピエントをD/R、抗体陽性、陰性をそれぞれ(N)/(P)とするとD(N)/R(N)、D(N)/R(P)、...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s262_2
Main Authors 吉武, 理, 加藤, 容二郎, 青木, 武士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s262_2

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Summary:【目的】CMV感染症の特徴を調査し、治療に役立てること。【対象】2002年1月から2024年4月までに行った157の腎移植のうち、CMV serostatus が明らかな147例。【方法】移植後はCMV antigenemiaでスクリーニングを行い、感染の時点で先行的治療を始めている。感染細胞数≧10を感染とカウントし、<10で感染収束と判断した。PCR法については一部の症例で実施している。【結果】対象の性は93/54(M/F)、年齢は49(19-79)歳、serostatusはドナー、レシピエントをD/R、抗体陽性、陰性をそれぞれ(N)/(P)とするとD(N)/R(N)、D(N)/R(P)、D(P)/R(N)、D(P)/R(P)のそれぞれは7/6/24/110であった。感染者数は55(37.4%)、D(P)/R(N)は75%と最も高率であった。21例が反復感染であり(2から9回)、D(P)/R(N)例で13例と最も多かった。初回感染と収束はそれぞれ移植後74(13-5411)、156(37-6651)日、感染期間は28(1-4733)日であった。特異な経過として反復感染、晩期感染(1年を超えて感染)、tissue invasive disease が挙げられ、それぞれ24、13、4(結腸2/胃1/眼1)例であった。一部は耐性ウィルスによって治療に難渋した。【考察】CMVは概ね1年以内に感染し収束するが、特異な経過をたどり、深刻な合併症を併発することがある。治療はガンシクロビルにほぼ依存していて、選択肢は少ない。早期診断、早期治療のためにはスクリーニング検査が重要であり、精度の高いPCR法は今後の戦略に役立つ可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s262_2