令和6年度版小学校外国語科用文部科学省検定済教科書語彙リストの開発—教科書改訂によって語彙はどのように変化したか

2024年度に小学校外国語科用文部科学省検定済教科書が改訂され,新たな教科書を用いた授業が始まった。本研究は,小学校で扱うべき600から700語の語彙の選定および,指導語彙が教科書や題材によって異なる可能性への問題意識から,佐藤(2021)が編纂した「小学生のための重要語リスト1,000」と令和6年版(R6)検定教科書を比較したものである。分析の結果,600語レベルで約80%,1,000語レベルで約90%のカバー率が確認され,令和2年版(R2)教科書と比較して指導語彙に大きな変化はないことが明らかになった。一方で,令和6年度版の教科書には,dangerous, trash can, World...

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Published in東北英語教育学会研究紀要 Vol. 45; pp. 55 - 64
Main Author 佐藤, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北英語教育学会 31.03.2025
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ISSN1346-2504
2758-5514
DOI10.57539/telesjournal.45.0_55

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Summary:2024年度に小学校外国語科用文部科学省検定済教科書が改訂され,新たな教科書を用いた授業が始まった。本研究は,小学校で扱うべき600から700語の語彙の選定および,指導語彙が教科書や題材によって異なる可能性への問題意識から,佐藤(2021)が編纂した「小学生のための重要語リスト1,000」と令和6年版(R6)検定教科書を比較したものである。分析の結果,600語レベルで約80%,1,000語レベルで約90%のカバー率が確認され,令和2年版(R2)教科書と比較して指導語彙に大きな変化はないことが明らかになった。一方で,令和6年度版の教科書には,dangerous, trash can, World Heritage Site, power, war, plastic bag, coral reefなど持続可能な社会や環境問題に関する話題を反映した語彙やtabletやonlineなどデジタル機器に関する語彙が含まれる傾向が観察された。児童の興味を引く多様なトピックや時事的・適時性のある語彙を取り入れた教科書作成は重要であるが,指導する語彙を絞った戦略的な語彙指導のバランスが必要であることを示唆する結果となった。
ISSN:1346-2504
2758-5514
DOI:10.57539/telesjournal.45.0_55