当院における常染色体優性多発性嚢胞腎に対する腎移植症例の臨床的検討
【緒言】常染色体優性多発性嚢胞腎 (ADPKD) は末期腎不全の原因疾患の一つで腎代替療法に腎移植を選択されることも多い。今回、当院のADPKD患者における治療成績および固有腎の腎移植後の縮小率について検討した。【対象・方法】長崎大学病院で2000年1月から2021年12月までに腎移植を行った161名を対象とし、ADPKD群 (12例) と非ADPKD群 (149例) 間の背景、治療成績を比較検討した。またADPKD群で腎移植前後の固有腎のCT画像が得られた9例の腎容積縮小率を検討した。【結果】ADPKD群におけるレシピエントの移植時年齢は中央値46歳 (IQR: 34-56)、性別 (男/女...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s325_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s325_2 |
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Summary: | 【緒言】常染色体優性多発性嚢胞腎 (ADPKD) は末期腎不全の原因疾患の一つで腎代替療法に腎移植を選択されることも多い。今回、当院のADPKD患者における治療成績および固有腎の腎移植後の縮小率について検討した。【対象・方法】長崎大学病院で2000年1月から2021年12月までに腎移植を行った161名を対象とし、ADPKD群 (12例) と非ADPKD群 (149例) 間の背景、治療成績を比較検討した。またADPKD群で腎移植前後の固有腎のCT画像が得られた9例の腎容積縮小率を検討した。【結果】ADPKD群におけるレシピエントの移植時年齢は中央値46歳 (IQR: 34-56)、性別 (男/女) は9/3、生体腎移植は10例、透析期間は0か月 (0-41.75)、先行的腎移植は7例、移植腎生着期間は5.5年 (0.5-7.3) だった。非ADPKD群と比較し、透析期間および移植腎生着期間は有意に短かった。非ADPKD群と比較して移植腎生着率は同等の成績であった。移植前の固有両腎容積は中央値2336 mL (2047-3215)であり、移植後中央値16か月(13-20) の固有両腎容積は1458mL (1294-1875)、縮小率は34.6% (28.8-44.7) であり、有意に縮小していた。【結論】当院のADPKDを原疾患とする腎移植症例について調査した。ADPKDに対する腎移植の治療成績は比較的良好であり、固有腎についてはいずれも移植後縮小を認めた。今回の検討を踏まえて、ADPKDに対する移植前の固有腎摘出の必要性などADPKDへの腎移植に関する文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s325_2 |