新学習指導要領実施後の中学校英語の課題—パフォーマンステストと小学校英語教科化後の生徒に関するアンケート調査から
本研究の目的は,青森県内の中学校英語科教員を対象に,スピーキングとライティングのパフォーマンステストと小学校英語教科化後の生徒の実態に関するアンケート調査を行い,新学習指導要領実施後の中学校英語の課題を明らかにすることである。調査の結果,両方のパフォーマンステストで,ルーブリックの作成率が低いこと,場面設定が難しいこと,評価者が1人のため評価の信頼性が低いこと,テストを設定する時間や採点の時間が足りないこと,評価への自信がないこと等が課題として挙げられた。またスピーキング単独では,評価の観点としてプロソディや発音が軽視されていること,ライティング単独では重視する評価の観点について,内容に続き,...
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| Published in | 東北英語教育学会研究紀要 Vol. 44; pp. 87 - 100 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
東北英語教育学会
16.04.2024
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| ISSN | 1346-2504 2758-5514 |
| DOI | 10.57539/telesjournal.44.0_87 |
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| Summary: | 本研究の目的は,青森県内の中学校英語科教員を対象に,スピーキングとライティングのパフォーマンステストと小学校英語教科化後の生徒の実態に関するアンケート調査を行い,新学習指導要領実施後の中学校英語の課題を明らかにすることである。調査の結果,両方のパフォーマンステストで,ルーブリックの作成率が低いこと,場面設定が難しいこと,評価者が1人のため評価の信頼性が低いこと,テストを設定する時間や採点の時間が足りないこと,評価への自信がないこと等が課題として挙げられた。またスピーキング単独では,評価の観点としてプロソディや発音が軽視されていること,ライティング単独では重視する評価の観点について,内容に続き,文法,語彙,綴り,語数等,ローカルな観点が重視されていることが明らかになった。小学校英語教科化後の生徒の実態については,4技能5領域の能力やコミュニケーション能力,言語活動への積極性は以前より高くなっている可能性が示された一方で,英語嫌いが助長されている可能性も示され,英語力や英語学習への意欲の二極化が潜在的に進行している懸念が示唆された。以上のように,パフォーマンステストの改善と中学校入学時の個に応じた指導が大きな課題であり,新学習指導要領実施以前に比べ,それらが深刻化している現状が明らかになった。そして,これらの解決策として,教員の資質・能力を向上させる演習型研修の設定,デジタル機器の活用による授業の効率化や個別最適な学びの推進,英語力や学習意欲に焦点化したシームレスな移行を目指す小中連携等が必要であることが提案された。 |
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| ISSN: | 1346-2504 2758-5514 |
| DOI: | 10.57539/telesjournal.44.0_87 |