ロボット工学者森政弘氏とのテレビ対談に寄せて 仏教と工学をつなぐ「ふたつをひとつに」
本稿は,日本のロボット工学のパイオニアであり,ロボコン創案者でもある森政弘氏の「物づくりは人づくり思想」を,NHK E テレの番組「ふたつをひとつに−ロボット工学と仏教−」(2019 年6 月30 日放映)での同氏との対談内容に,著者(聞き手)なりの解説・補足やコメントを加える形で紹介することを目的としている.森さんによると,概念的には対立し合う「二つ」を調和させて「一つ」にすることは,物づくりの現場では当たり前のような営みであるが,そこに仏教的な智慧としての「二元性一原論」および「価値の三性の理」とのつながりを意識的に掘り起こすことによって,善用・悪用の両面を孕む技術開発の問題点の解決に向け...
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          | Published in | 生産研究 Vol. 74; no. 3; pp. 269 - 275 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            東京大学生産技術研究所
    
        01.08.2022
     | 
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| ISSN | 0037-105X 1881-2058  | 
| DOI | 10.11188/seisankenkyu.74.269 | 
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| Summary: | 本稿は,日本のロボット工学のパイオニアであり,ロボコン創案者でもある森政弘氏の「物づくりは人づくり思想」を,NHK E テレの番組「ふたつをひとつに−ロボット工学と仏教−」(2019 年6 月30 日放映)での同氏との対談内容に,著者(聞き手)なりの解説・補足やコメントを加える形で紹介することを目的としている.森さんによると,概念的には対立し合う「二つ」を調和させて「一つ」にすることは,物づくりの現場では当たり前のような営みであるが,そこに仏教的な智慧としての「二元性一原論」および「価値の三性の理」とのつながりを意識的に掘り起こすことによって,善用・悪用の両面を孕む技術開発の問題点の解決に向けて,新たな光を投げかける可能性があることを,森さんが指摘しているように思われる.その際,技術上の自動制御と仏教の自律的な心の制御とを「一つ」に合わせる柔軟な姿勢が重要な意味を持つように思われる. | 
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| ISSN: | 0037-105X 1881-2058  | 
| DOI: | 10.11188/seisankenkyu.74.269 |