言語聴覚士におけるアカデミックスパムの現状 認知度調査と事例検討

学術誌への投稿や学会への参加を執拗に催促するメール(Academic spam e-mails, ASEs)が国際的に問題となっている.その理由として論文掲載費や参加費は高額で,査読システムも崩壊している団体が多いことなどが挙げられるが,リハビリテーションや福祉領域におけるASEs の現状は不明である.本稿では,言語聴覚領域にも送信されるASEs の現状を把握し,言語聴覚士(Speech-language-hearing therapist, SLHT)らへの認識の強化を目的とし,58 名のSLHT にASEs の認知度,経験年数,学会と論文発表の有無などを聴取するとともに,SLHT に送付さ...

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Published in保健医療学雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 81 - 91
Main Authors 山本, 正彦, 辰巳, 寛, 田中, 康博, 田中, まゆ, 田村, 俊暁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 保健医療学学会 01.10.2022
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ISSN2185-0399
DOI10.15563/jalliedhealthsci.13.81

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Summary:学術誌への投稿や学会への参加を執拗に催促するメール(Academic spam e-mails, ASEs)が国際的に問題となっている.その理由として論文掲載費や参加費は高額で,査読システムも崩壊している団体が多いことなどが挙げられるが,リハビリテーションや福祉領域におけるASEs の現状は不明である.本稿では,言語聴覚領域にも送信されるASEs の現状を把握し,言語聴覚士(Speech-language-hearing therapist, SLHT)らへの認識の強化を目的とし,58 名のSLHT にASEs の認知度,経験年数,学会と論文発表の有無などを聴取するとともに,SLHT に送付されたASEs を前向きコホート研究として収集し解析した.その結果,約8 割ものSLHT がASEs の存在を認知しておらず,この傾向は臨床経験が浅く,学会・論文において発表の機会が無い者に多いことが示された.また,SLHT であっても年間1,232 件ものASEs を受信することもあり,その存在は単なる手間というだけでなく,本領域の発展において決して無視できないと考えられた.ASEs の存在とその脅威を改めて認識し,本領域における教育と周知を早急に行う必要があると考える.
ISSN:2185-0399
DOI:10.15563/jalliedhealthsci.13.81