臨床場面における危険認知力と性格特性との関係 理学療法学科男子大学生での検討

【緒言】医療事故防止のためには対象者やその環境に対する観察技術を養い,個人の危険を認知する力(以下,危険認知力)の向上が求められている.危険認知力は臨床経験だけではなく性格特性の違いによっても差が生じると考えられるため,臨床場面における危険認知力と性格特性との関係について検討を行った.【方法】被検者は理学療法学科男子大学生47名とした.臨床場面の静止画から事故が生じ得る箇所の発見数を危険認知得点とし,学年間の比較を行った.またエゴグラムを用いて自我状態を測定し,危険認知得点の高い群と低い群について自我状態の比較を行った.【結果】危険認知力は高学年のほうが低学年より有意に高い点数であった.また,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in保健医療学雑誌 Vol. 14; no. 2; pp. 73 - 79
Main Authors 北岡, れい, 保里, 友紀奈, 越野, 八重美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 保健医療学学会 01.10.2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2185-0399
DOI10.15563/jalliedhealthsci.14.73

Cover

More Information
Summary:【緒言】医療事故防止のためには対象者やその環境に対する観察技術を養い,個人の危険を認知する力(以下,危険認知力)の向上が求められている.危険認知力は臨床経験だけではなく性格特性の違いによっても差が生じると考えられるため,臨床場面における危険認知力と性格特性との関係について検討を行った.【方法】被検者は理学療法学科男子大学生47名とした.臨床場面の静止画から事故が生じ得る箇所の発見数を危険認知得点とし,学年間の比較を行った.またエゴグラムを用いて自我状態を測定し,危険認知得点の高い群と低い群について自我状態の比較を行った.【結果】危険認知力は高学年のほうが低学年より有意に高い点数であった.また,エゴグラムのA(Adult)の得点は,低危険認知群で有意に低かった.また,CP(Crirical Parent)の項目得点は,有意ではないが高認知群に比べ低認知群で低い結果を示した.【結論】危険認知力を向上させるには自己の性格傾向を把握した上で,事故を模擬したロールプレイやシミュレーション演習を行うことが有効的な教育方法であると考えられた.
ISSN:2185-0399
DOI:10.15563/jalliedhealthsci.14.73