Occult HBV感染と考えられる血液製剤による輸血後B型急性肝炎の一例

輸血によるB型急性肝炎の一例を報告する.症例は50歳代男性.心臓手術を受けた際に多量の輸血を受けた.輸血約3カ月後にはHBs抗原,HBs抗体,HBc抗体いずれも陰性であったが,6カ月後に肝障害を認めた.HBs抗原陽転化および血中HBV-DNA陽性によりB型急性肝炎と診断された.安静のみで肝炎は改善し,血中HBV-DNAは数週間で検出不能となった.輸血製剤の調査により新鮮凍結血漿の1本でHBV-DNAが検出され,塩基配列が患者から得られたウイルスのものと一致した.献血者は頻回に献血を行っておりOccult HBV感染と考えられた.核酸増幅検査の精度向上にかかわらず,Occult HBV感染者由来...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 1; pp. 60 - 66
Main Authors 山下, 信行, 野村, 秀幸, 谷本, 博徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.60

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Summary:輸血によるB型急性肝炎の一例を報告する.症例は50歳代男性.心臓手術を受けた際に多量の輸血を受けた.輸血約3カ月後にはHBs抗原,HBs抗体,HBc抗体いずれも陰性であったが,6カ月後に肝障害を認めた.HBs抗原陽転化および血中HBV-DNA陽性によりB型急性肝炎と診断された.安静のみで肝炎は改善し,血中HBV-DNAは数週間で検出不能となった.輸血製剤の調査により新鮮凍結血漿の1本でHBV-DNAが検出され,塩基配列が患者から得られたウイルスのものと一致した.献血者は頻回に献血を行っておりOccult HBV感染と考えられた.核酸増幅検査の精度向上にかかわらず,Occult HBV感染者由来と思われる輸血後B型肝炎は年間数例の報告が続いている.2012年8月にHBc抗体低力価かつHBs抗体低力価の献血血液を不使用とする新たな対策が講じられ,感染者の減少が期待されている.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.60