総胆管結石症におけるT - tube 造設の問題点と術式の改良 逆行性経胆管経肝- tube の有用性について

胆道結石症における総胆管切開後のT - tube 造設の適応は, 術後の胆道減圧と結石遺残に対する予防的措置が主なものである. その反面, tube 脱落, 瘻孔形成不全など重篤な合併症(186例中8例,4.3%)のほか,最近は入院期間の長期化,医療コストの点でも問題となっている. われわれは総胆管切開後,十年一日のごとく行われてきたT-tube造設の問題点を改善するため,最近の総胆管結石症28例に対し,逆行性経肝的ルートで体外に誘導する術式の改良(逆行性経胆管経肝tube造設術)を試みた.その結果,再開腹や特別な処置を必要とする重篤な合併症は1例もなく,術中tubeの肝外脱落1例,逆行性経胆...

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Published in胆道 Vol. 2; no. 1; pp. 77 - 83
Main Authors 井上, 啓爾, 中田, 俊則, 古川, 正人, 瀬戸口, 正幸, 林, 〓欽, 草野, 敏臣, 酒井, 敦, 立花, 一幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1988
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.2.1_77

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Summary:胆道結石症における総胆管切開後のT - tube 造設の適応は, 術後の胆道減圧と結石遺残に対する予防的措置が主なものである. その反面, tube 脱落, 瘻孔形成不全など重篤な合併症(186例中8例,4.3%)のほか,最近は入院期間の長期化,医療コストの点でも問題となっている. われわれは総胆管切開後,十年一日のごとく行われてきたT-tube造設の問題点を改善するため,最近の総胆管結石症28例に対し,逆行性経肝的ルートで体外に誘導する術式の改良(逆行性経胆管経肝tube造設術)を試みた.その結果,再開腹や特別な処置を必要とする重篤な合併症は1例もなく,術中tubeの肝外脱落1例,逆行性経胆管経肝tubeからの胆管出血1例,tubeの留置部位の移動などであった.入院期間も胆嚢摘出術のみの場合と同じく従来より約2週間短縮でき,今後推奨されるべき手術術式だと考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.2.1_77