呼吸器感染症に対するImipenem/Cilastntin sodiumと他のβ-Lactam系抗菌薬の有用性と治療日数の検討

呼吸器感染症に対する初回治療薬としての有用性と感染症治療日数について, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) とカルバペネム系を除くその他のβ-lactam系抗菌薬 (CAZもしくはSBT/CPZ) の比較検討をプロスペクティブに行った。臨床評価対象例における有効率はIPM/CS群84.9% (62/73), β-lactam群74.7% (56/75) であり, IPM/CS群で高い臨床効果を認めたが有意の差はなかった。層別解析では, 呼吸器系基礎疾患のある症例においてIPM/CS群91.1% (41/45), β-lactam群73.9% (34/46), 慢性呼吸器疾...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 52; no. 1; pp. 1 - 15
Main Authors 二宮, 清, 松永, 理香, 池田, 昭仁, 山口, 常子, 力丸, 徹, 井手, 宏, 廣瀬, 宣之, 児玉, 武利, 大泉, 耕太郎, 本廣, 昭, 国武, 律子, 中川, 義久, 樋口, 和行, 阿部, 和明, 原, 信之, 小江, 俊行, 吉田, 稔, 矢野, 敬文, 蛯原, 桃子, 山田, 穂積, 小野原, 信吾, 松葉, 健一, 黒木, 茂高, 中原, 伸, 小柳, 孝太郎, 松崎, 義和, 難波, 煌治, 丸山, 理一郎, 鎌江, 伊三夫, 一瀬, 幸人, 金, 民姫, 古賀, 英之, 北原, 義也, 千布, 節, 吉井, 千春, 瀧原, 宏憲, 白石, 恒明, 石橋, 凡雄, 加藤, 收, 副島, 嘉修, 宮崎, 直樹, 島津, 和泰, 渡辺, 憲太朗, 犬山, 正仁, 加藤, 雅人, 城戸, 優光, 栗田, 幸男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1999
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.52.1

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Summary:呼吸器感染症に対する初回治療薬としての有用性と感染症治療日数について, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) とカルバペネム系を除くその他のβ-lactam系抗菌薬 (CAZもしくはSBT/CPZ) の比較検討をプロスペクティブに行った。臨床評価対象例における有効率はIPM/CS群84.9% (62/73), β-lactam群74.7% (56/75) であり, IPM/CS群で高い臨床効果を認めたが有意の差はなかった。層別解析では, 呼吸器系基礎疾患のある症例においてIPM/CS群91.1% (41/45), β-lactam群73.9% (34/46), 慢性呼吸器疾患の二次感染症例においてIPM/CS群91.2% (31/34), β-lactam群66.7% (24/36) であり, IPM/CS群とβ.lactam群の間に有意な差が認められた。 主治医判定による臨床評価対象例の感染症治癒までの治療日数はIPM/CS群12.9±0.6日, β-lactam群14.5土0.7日であり, 傾向差を認めたが有意ではなかった。層別解析では感染症重症度が軽・中等症症例においてIPM/CS群12.0±0.6日 (n=64), β-lactam群14.3±0.7日 (n=70), 呼吸器系基礎疾患のある症例においてIPM/CS群11.8±0.7日 (n=45), β-lactam群14.7±0.9日 (n=46), 慢性呼吸器疾患の二次感染症例においてIPM/CS群11.1±0.7日 (n=34), β-lactam群14.7±1.1日 (n=36) であり, いずれもIPM/CS群で有意な治療日数の短縮を認めた。感染症重症例, 呼吸器系基礎疾患のない症例, 肺炎・肺化膿症例では有意な差は認めなかった。 一方, 委員会基準による判定において臨床評価対象例の感染症治癒までの治療日数 (体温, WBC, CRPの3つの基準をいずれも下回った時点までの日数) はIPM/CS群6.9±0.5日, β-lactam群10.3土0.7日であり, IPM/CS群において有意に治療日数の短縮が認められ, また, 生存時間解析から得られた曲線によって, 両群の治癒プロセスは視覚的にも捕らえられ, IPM/CS群の治癒プロセスの速さが確認された。IPM/CS群において主治医判定と委員会基準による判定のいずれの感染症治療日数も短い結果が得られたが, それらの治療日数の判定の結果の問にかなりの乖離を認め, 今後更に, 注射用抗菌薬の適正な投与期間について検討を加える必要がある。 安全性 (副作用, 臨床検査値異常) は両群間の発現頻度に有意な差は認めず, 重篤なものはなく, 投与継続もしくは中止により消失した。 以上により, 呼吸器感染症に対しIPM/CSは初期治療剤として高い臨床的有用性と治療日数の短縮を認めた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.52.1