ICP-MSによる固体材料のリアルタイム元素分析のための連続液中レーザーアブレーション(CLAL)サンプリング技術の開発

液中レーザーアブレーション(LAL)法を連続的に行うための新しい試料セルを製作し,様々なレーザー照射条件で信号プロファイルを取得した.レーザー照射条件において,低フルエンス(平均フルエンス1 J/cm2)と高発振周波数(100 Hz)を組み合わせることで,安定した信号を得ることができた.内径5 mmのバイトン製Oリングをセルとして用いた場合,生成した固体微粒子の排出時間(洗浄時間)は3分程度であるが,内径2.5 mmのものを使用すると1分程度にまで短縮できた.このサイズ以下では,セル内での固体微粒子の滞留よりも,輸送チューブ内での拡散が洗浄時間を決める支配的要因となることが明らかとなった.この...

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Published in分析化学 Vol. 70; no. 12; pp. 729 - 735
Main Author 平田, 岳史
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.12.2021
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.70.729

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Summary:液中レーザーアブレーション(LAL)法を連続的に行うための新しい試料セルを製作し,様々なレーザー照射条件で信号プロファイルを取得した.レーザー照射条件において,低フルエンス(平均フルエンス1 J/cm2)と高発振周波数(100 Hz)を組み合わせることで,安定した信号を得ることができた.内径5 mmのバイトン製Oリングをセルとして用いた場合,生成した固体微粒子の排出時間(洗浄時間)は3分程度であるが,内径2.5 mmのものを使用すると1分程度にまで短縮できた.このサイズ以下では,セル内での固体微粒子の滞留よりも,輸送チューブ内での拡散が洗浄時間を決める支配的要因となることが明らかとなった.このため,固体微粒子を含む液相を,気相で挟みこむ(ブラケティング)ことで,輸送過程での粒子の拡散を低減することができた.繰り返し測定における信号強度の再現性は10%,同位体分析比測定精度はおよそ5% 分程度であった.さらなる分析精度の改善には,試料セルの改造とともに,気相挿入法の自動化,レーザー照射条件の最適化などが必要であろう.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.70.729