気管挿管をめぐる最近の動向

長期に渡る対策が功を奏し、手術室での気道トラブルは減少した。しかし、手術室外においては未だ課題が多い。そこで、気管挿管をめぐる最近の文献を調査し、現状と動向を概説する。集中治療室での気管挿管には、MACOCHAスコアや気管挿管バンドルの使用が勧められている。呼吸不全患者の挿管前の酸素化(前酸素化)には非侵襲的陽圧換気が有効で、挿管操作中は無呼吸酸素化が推奨される。ビデオ喉頭鏡は声門部の視認性に優れ、小型化、低価格化により普及しているが、各医療現場では適正使用に向けた教育が重要である。上気道エコーによる気管チューブの位置確認は感度、特異度共に高く、習得も容易なため普及が望まれる。困難気道管理ガイ...

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Published in神戸市立病院紀要 Vol. 56; pp. 1 - 13
Main Author 田中, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 2017
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ISSN0286-455X
2434-7590
DOI10.32301/kobecityhospital.56.0_1

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Summary:長期に渡る対策が功を奏し、手術室での気道トラブルは減少した。しかし、手術室外においては未だ課題が多い。そこで、気管挿管をめぐる最近の文献を調査し、現状と動向を概説する。集中治療室での気管挿管には、MACOCHAスコアや気管挿管バンドルの使用が勧められている。呼吸不全患者の挿管前の酸素化(前酸素化)には非侵襲的陽圧換気が有効で、挿管操作中は無呼吸酸素化が推奨される。ビデオ喉頭鏡は声門部の視認性に優れ、小型化、低価格化により普及しているが、各医療現場では適正使用に向けた教育が重要である。上気道エコーによる気管チューブの位置確認は感度、特異度共に高く、習得も容易なため普及が望まれる。困難気道管理ガイドラインの登場により、アルゴリズムに沿った気道管理が実施されている。医療従事者は、“cannot intubate and cannot oxygenate”(CICO)シナリオを念頭に置き、的確に対処できなければならない。
ISSN:0286-455X
2434-7590
DOI:10.32301/kobecityhospital.56.0_1