医療におけるユーザーイノベーションの実現可能性
本稿の目的は医療分野におけるユーザーイノベーションの意義や実現可能性を考察することにある。医療の概念とユーザーイノベーションの概念を広く捉え,同イノベーションの分類や多様性を確認した。今後,検証が必要となるが,患者の生活の質の向上を目的としたものや患者の所有物を対象にしたユーザーイノベーションについては実現可能性が高いものと考えられる。一方,医薬品や医療機器については患者だけで開発を進めるのが難しく,患者側が臨床試験や治験の被験者を紹介したり,患者の視点から臨床試験や治験のあり方を提案するといった形で製薬企業などとの共創や連携を進めるのが現実的であるとの見解を示した。開発プロセスへの患者団体の...
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| Published in | マーケティングジャーナル Vol. 39; no. 2; pp. 36 - 48 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本マーケティング学会
27.09.2019
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0389-7265 2188-1669 |
| DOI | 10.7222/marketing.2019.036 |
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| Summary: | 本稿の目的は医療分野におけるユーザーイノベーションの意義や実現可能性を考察することにある。医療の概念とユーザーイノベーションの概念を広く捉え,同イノベーションの分類や多様性を確認した。今後,検証が必要となるが,患者の生活の質の向上を目的としたものや患者の所有物を対象にしたユーザーイノベーションについては実現可能性が高いものと考えられる。一方,医薬品や医療機器については患者だけで開発を進めるのが難しく,患者側が臨床試験や治験の被験者を紹介したり,患者の視点から臨床試験や治験のあり方を提案するといった形で製薬企業などとの共創や連携を進めるのが現実的であるとの見解を示した。開発プロセスへの患者団体の参画について,日本ではまだ件数が少ないが,日本せきずい基金と日本網膜色素変性症協会の取り組みを紹介した。ただし,この2件は大学などの研究機関と患者団体とが連携,交流したものである。製薬企業と患者団体との連携が待たれるところである。 |
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| ISSN: | 0389-7265 2188-1669 |
| DOI: | 10.7222/marketing.2019.036 |