ノリの活着力(ヒキ)と生長に及ぼす殻胞子着生直後のアルギニンまたはオルニチン浸漬の効果

本研究では,スサビノリ採苗時におけるアルギニンおよびオルニチンの浸漬効果を明らかにするために,芽落ち防止を目的とした活着力(ヒキ)および収量増加を目的とした生長性を室内培養実験および野外養殖試験により調べた。室内培養実験からは,オルニチンへの1時間以上の浸漬により活着力が増強することが明らかとなった。野外養殖試験からは,採苗後にアルギニンおよびオルニチンに24時間の浸漬を行うことにより,育苗期の活着力の増強と生長促進が認められた。さらに,収量は,アルギニンおよびオルニチンへの浸漬を行った場合,1日1網あたり10%以上増加した。以上のことから,採苗時にアルギニンまたはオルニチンに1回浸漬すること...

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Published in水産増殖 Vol. 70; no. 2; pp. 179 - 191
Main Authors 川崎, 周作, 多良, 千鶴, 村瀬, 昇, 阿部, 真比古, 藤木, 伸哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産増殖学会 2022
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ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.70.179

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Summary:本研究では,スサビノリ採苗時におけるアルギニンおよびオルニチンの浸漬効果を明らかにするために,芽落ち防止を目的とした活着力(ヒキ)および収量増加を目的とした生長性を室内培養実験および野外養殖試験により調べた。室内培養実験からは,オルニチンへの1時間以上の浸漬により活着力が増強することが明らかとなった。野外養殖試験からは,採苗後にアルギニンおよびオルニチンに24時間の浸漬を行うことにより,育苗期の活着力の増強と生長促進が認められた。さらに,収量は,アルギニンおよびオルニチンへの浸漬を行った場合,1日1網あたり10%以上増加した。以上のことから,採苗時にアルギニンまたはオルニチンに1回浸漬することにより,ノリ葉状体の育苗期の活着力を増強させ,芽落ち防止に寄与できるだけでなく,収量の増大にも貢献できると考えられる。
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.70.179