クロマグロ Thunnus orientalis 仔魚の攻撃行動および共食いに及ぼす飼育密度とその複合要因の影響

クロマグロ Thunnus orientalis 仔魚の攻撃行動および共食いに及ぼす飼育密度とその複合要因の影響を検討した。適切な餌が豊富で魚体サイズが揃っていれば,低密度(0.1尾/l)から高密度(0.5尾/l)まで飼育密度を増加しても攻撃頻度には影響がなかった。一方,餌不足の状態になると高密度で攻撃行動が顕著に増加した。魚体差が大きい単独要因では攻撃行動の増加はわずかで,高密度による増加傾向もみられなかった。制限給餌下で魚体差が広がると,攻撃行動は制限給餌の単独要因よりも顕著に増加し,高密度でも同様の影響が示された。共食いによる死亡は小型個体で発生し易く,高密度では顕著に増加した。特に,魚...

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Published in水産増殖 Vol. 72; no. 2; pp. 103 - 113
Main Authors 石橋, 泰典, 武田, 崇史, 岡田, 貴彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 2024
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ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.72.103

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Summary:クロマグロ Thunnus orientalis 仔魚の攻撃行動および共食いに及ぼす飼育密度とその複合要因の影響を検討した。適切な餌が豊富で魚体サイズが揃っていれば,低密度(0.1尾/l)から高密度(0.5尾/l)まで飼育密度を増加しても攻撃頻度には影響がなかった。一方,餌不足の状態になると高密度で攻撃行動が顕著に増加した。魚体差が大きい単独要因では攻撃行動の増加はわずかで,高密度による増加傾向もみられなかった。制限給餌下で魚体差が広がると,攻撃行動は制限給餌の単独要因よりも顕著に増加し,高密度でも同様の影響が示された。共食いによる死亡は小型個体で発生し易く,高密度では顕著に増加した。特に,魚体差と餌不足が重複した場合には,攻撃行動と同様に共食いが急激に増加し,大量死することが示唆された。クロマグロ仔魚は高密度飼育下であっても餌不足や魚体差の広がりを防ぐことで攻撃行動が抑えられ,少なくとも0.5尾/l の高密度でも飼育が可能と考えられた。
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.72.103