ケルダール法における魚粉中の全窒素測定条件の検討及び燃焼法との比較
ケルダール法と燃焼法の測定方法の違いによって,魚粉中の全窒素の定量値に差が生じる原因を検討した.その結果,両測定法の定量値に有意差のある魚粉が認められた.難分解性アミノ酸であるリジン塩酸塩の回収率を目安に,分解促進剤の量及び分解時間を検討し,最適な条件を設定した.しかながら,本法を魚粉に適用した場合,分解中に激しく発泡することがあり,分解液が透明になるまでに時間がかかり,分解操作が煩雑となった.そこで,試料採取量を2 gから1 gに減らし,分解促進剤10 g及び硫酸30 mLを加え分解し,分解液が透明になった後120分間加熱を継続した.この分解方法で燃焼法と比較を行った結果,燃焼法における定量...
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Published in | 分析化学 Vol. 60; no. 1; pp. 67 - 74 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
2011
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ISSN | 0525-1931 |
DOI | 10.2116/bunsekikagaku.60.67 |
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Summary: | ケルダール法と燃焼法の測定方法の違いによって,魚粉中の全窒素の定量値に差が生じる原因を検討した.その結果,両測定法の定量値に有意差のある魚粉が認められた.難分解性アミノ酸であるリジン塩酸塩の回収率を目安に,分解促進剤の量及び分解時間を検討し,最適な条件を設定した.しかながら,本法を魚粉に適用した場合,分解中に激しく発泡することがあり,分解液が透明になるまでに時間がかかり,分解操作が煩雑となった.そこで,試料採取量を2 gから1 gに減らし,分解促進剤10 g及び硫酸30 mLを加え分解し,分解液が透明になった後120分間加熱を継続した.この分解方法で燃焼法と比較を行った結果,燃焼法における定量値の方が高くなる傾向にあったが,両分析法での有意な差は認められなかった.燃焼法はケルダール法より併行精度が高く,信頼性の高い分析法であった.両測定法の定量値に差が生じる原因として,当初,硝酸態窒素量及び亜硝酸態窒素量が影響していると想定したが,ケルダール法の分解が不十分であることが原因と考えられた. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.60.67 |