手術創感染に由来するStreptococcal toxic shock syndromeの1救命例

〔要旨〕症例は67歳男性。右足の痛みと発熱,転倒後の顔面受傷を主訴に救急搬入された。既往歴は糖尿病と足の熱傷に対して2カ月前に皮膚移植を受けていた。身体所見では右踵の皮膚壊死と下腿におよぶ腫脹を認めた。血液検査では腎機能障害と炎症所見を認め,手術部位感染の診断で入院となったが,創部のグラム染色でグラム陽性レンサ球菌を認め,ショックを呈したため,侵襲性溶連菌感染症を疑いpiperacillin-tazobactamへの変更とnorepinephrineを開始した。のちの血液培養検査ではA群β溶血性レンサ球菌が陽性であった。2日後,CT検査で下腿にガス像を認めたため,壊死性筋膜炎の診断でデブリドマ...

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Published inJapanese Journal of Acute Care Surgery p. 15-2
Main Authors 上原, 智仁, 木戸川, 秀生, 田崎, 幸博, 岡本, 好司, 金野, 剛, 山吉, 隆友, 室屋, 大輔, 井上, 征雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会 10.04.2025
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ISSN2436-102X
DOI10.50840/jjacs.15-2

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Summary:〔要旨〕症例は67歳男性。右足の痛みと発熱,転倒後の顔面受傷を主訴に救急搬入された。既往歴は糖尿病と足の熱傷に対して2カ月前に皮膚移植を受けていた。身体所見では右踵の皮膚壊死と下腿におよぶ腫脹を認めた。血液検査では腎機能障害と炎症所見を認め,手術部位感染の診断で入院となったが,創部のグラム染色でグラム陽性レンサ球菌を認め,ショックを呈したため,侵襲性溶連菌感染症を疑いpiperacillin-tazobactamへの変更とnorepinephrineを開始した。のちの血液培養検査ではA群β溶血性レンサ球菌が陽性であった。2日後,CT検査で下腿にガス像を認めたため,壊死性筋膜炎の診断でデブリドマンを施行した。術後呼吸不全により集中治療を要した。術後3日目に人工呼吸器から離脱し,5日目に一般病床に転床した。今回われわれは術後創感染に劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcus toxic shock syndrome)を伴った1例を経験したため報告する。
ISSN:2436-102X
DOI:10.50840/jjacs.15-2