脳血管障害患者の麻痺側足関節における底背屈運動と可動域制限発生との関係 発症後1ヶ月以内の定量的検討
一般に関節可動域制限の発生は関節運動の減少によるものと推測されている。しかし,これまで関節可動域制限の発生を予防するための関節運動を定量的に分析した研究の報告はない。そこで今回著者は,脳血管障害14例の麻痺側の15足関節を対象として,発症後2週と4週の時点での24時間の足関節運動と足関節背屈可動域の変化とを測定した。関節可動域の測定結果は,発症後4週の時点で足関節背屈可動域は8肢で変化がみられず7肢で低下し,低下群と維持群に分けられた。関節運動の測定結果から,維持群と低下群との間に有意差がみられたのは発症後2週の時点で足関節が背屈0度より背屈域に位置した時間(維持群は137 ± 138分,低下...
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| Published in | 理学療法学 Vol. 30; no. 5; pp. 288 - 295 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本理学療法士学会
20.08.2003
日本理学療法士協会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0289-3770 2189-602X |
| DOI | 10.15063/rigaku.KJ00001019790 |
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| Summary: | 一般に関節可動域制限の発生は関節運動の減少によるものと推測されている。しかし,これまで関節可動域制限の発生を予防するための関節運動を定量的に分析した研究の報告はない。そこで今回著者は,脳血管障害14例の麻痺側の15足関節を対象として,発症後2週と4週の時点での24時間の足関節運動と足関節背屈可動域の変化とを測定した。関節可動域の測定結果は,発症後4週の時点で足関節背屈可動域は8肢で変化がみられず7肢で低下し,低下群と維持群に分けられた。関節運動の測定結果から,維持群と低下群との間に有意差がみられたのは発症後2週の時点で足関節が背屈0度より背屈域に位置した時間(維持群は137 ± 138分,低下群は19 ± 40分)と発症後4週の時点で底屈10度より背屈域に位置した時間(維持群は343 ± 170分,低下群は106 ± 103分)であった。この結果は,足関節背屈可動域を維持するためには,前述の維持群の関節運動が必要であることと,足関節背屈域での関節運動が重要であること,および発症後2週では発症後4週よりも少ない関節運動で可動域が維持できることを示唆しているものと思われた。 |
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| ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
| DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00001019790 |