急性期病棟における仙骨用多層シリコンフォーム材の有効性 褥瘡ハイリスク患者の仙骨部褥瘡予防

近年,褥瘡予防目的で創傷被覆材の貼付が行われており,その有効性が報告されている.今回,当施設急性期病棟で褥瘡発生率の高かった病棟において,褥瘡ハイリスク患者に仙骨用多層シリコンフォーム材(Mepilex® Border Protect仙骨用)を用いることで仙骨褥瘡発生予防の有用性を検討した.当施設の1病棟において2017年4月から2019年3月までの2年間で,障害高齢者の日常生活自立度B・Cかつ仙骨部に病的骨突出のある褥瘡ハイリスク患者に日本褥瘡学会の「褥瘡予防について」に準じた褥瘡予防策を講じた上,Mepilex® Border Protect仙骨用を貼付した73名と貼付しない69名とを対象...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 80; no. 1; pp. 69 - 74
Main Authors 清水, 崇史, 門松, 香一, 藍, 嵐, 大塚, 尚治, 赤嶺, 周亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2020
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.80.69

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Summary:近年,褥瘡予防目的で創傷被覆材の貼付が行われており,その有効性が報告されている.今回,当施設急性期病棟で褥瘡発生率の高かった病棟において,褥瘡ハイリスク患者に仙骨用多層シリコンフォーム材(Mepilex® Border Protect仙骨用)を用いることで仙骨褥瘡発生予防の有用性を検討した.当施設の1病棟において2017年4月から2019年3月までの2年間で,障害高齢者の日常生活自立度B・Cかつ仙骨部に病的骨突出のある褥瘡ハイリスク患者に日本褥瘡学会の「褥瘡予防について」に準じた褥瘡予防策を講じた上,Mepilex® Border Protect仙骨用を貼付した73名と貼付しない69名とを対象患者として比較検討した.仙骨用多層シリコンフォーム材を貼付された群では2名(2.7%)に仙骨部褥瘡が発生し,褥瘡予防のみの群では15名(21.7%)に仙骨部褥瘡が発生し,有意な差を認めた(p‹0.05).本研究で,急性期病棟においても多層シリコンフォーム材が褥瘡予防に有効であることが示された.その要因としては,従来のドレッシング材と比較して仙骨から臀部にかけての密着性が高く剥がれにくいことや,5層構造による圧迫・せん断力・摩擦の軽減などが考えられる.今後は実際に臨床で広く使用されるために,費用対効果に関しても検討を行っていく必要がある.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.80.69