Vincristineとitraconazoleにより重篤な薬物相互作用を来した急性リンパ性白血病の1例
vincristine (VCR) とitraconazole (ITCZ) の相互作用と思われる有害事象を来した急性リンパ性白血病 (ALL) を経験した。症例は51歳男性, 腰背部痛を主訴に受診。精査の結果ALLと診断され, VCRを含む多剤併用療法と真菌感染予防としてITCZの内服を開始。開始後肝障害に加え, 便秘, 痺れや低Na血症等, VCRによると思われる有害事象を認めた。ITCZを中止, 水分制限, Na補充などで改善を得た。以降ITCZをfluconazoleへ変更, 有害事象は認めず化学療法を継続している。ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬はcytochrome P450の一つ...
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Published in | 日本化学療法学会雑誌 Vol. 56; no. 6; pp. 634 - 637 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
10.11.2008
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Subjects | |
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ISSN | 1340-7007 1884-5886 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1995.56.634 |
Cover
Summary: | vincristine (VCR) とitraconazole (ITCZ) の相互作用と思われる有害事象を来した急性リンパ性白血病 (ALL) を経験した。症例は51歳男性, 腰背部痛を主訴に受診。精査の結果ALLと診断され, VCRを含む多剤併用療法と真菌感染予防としてITCZの内服を開始。開始後肝障害に加え, 便秘, 痺れや低Na血症等, VCRによると思われる有害事象を認めた。ITCZを中止, 水分制限, Na補充などで改善を得た。以降ITCZをfluconazoleへ変更, 有害事象は認めず化学療法を継続している。ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬はcytochrome P450の一つであるCYP3A4で代謝されるが, アゾール系抗真菌薬はCYP3A4阻害薬として知られており, 特にITCZはCYP3A4を強力に阻害するとされる。本症例はこれらの相互作用によりVCRの代謝が遷延, 有害事象が重篤化したと考えられた。 |
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ISSN: | 1340-7007 1884-5886 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1995.56.634 |