炎症をめぐって

炎症の4徴候は, 発熱, 疼痛, 発赤, 腫脹であると学生のころに教わった. すなわち, この4徴候があれば炎症があると考えてよいというものである. しかし, 炎症も時代の流れとともに大きな変貌を遂げてきたことと思う. 以前は炎症といえば, 細菌やウイルスなどによる感染, 化学的, 物理的, 機械的な刺激, あるいは温熱などによるものがすぐ脳裡に浮んできた. 当時, アレルギー反応による炎症は影が薄かった, しかし, 自分の専門の分野であるということもあって, 最近ではアレルギー性の炎症がすぐ連動するようにたった. また, アレルギー性の炎症を介して発症している疾患も少なくない. 少なくともア...

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Published in炎症 Vol. 13; no. 2; pp. 99 - 100
Main Author 宮本, 昭正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1993
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.13.99

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Summary:炎症の4徴候は, 発熱, 疼痛, 発赤, 腫脹であると学生のころに教わった. すなわち, この4徴候があれば炎症があると考えてよいというものである. しかし, 炎症も時代の流れとともに大きな変貌を遂げてきたことと思う. 以前は炎症といえば, 細菌やウイルスなどによる感染, 化学的, 物理的, 機械的な刺激, あるいは温熱などによるものがすぐ脳裡に浮んできた. 当時, アレルギー反応による炎症は影が薄かった, しかし, 自分の専門の分野であるということもあって, 最近ではアレルギー性の炎症がすぐ連動するようにたった. また, アレルギー性の炎症を介して発症している疾患も少なくない. 少なくともアレルギー性の疾患は, アレルギー性の炎症で説明されている. アレルギー性炎症には, 細胞のなかに存在する顆粒のなかに含まれていて, 脱顆粒に伴なって遊離されるヒスタミン, ECF(eosinophil chemotactic factor), NCF(neutrophil chemotactic factor), カイメース, カリクレイン, グルクロニダーゼなどがある. そのほか細胞膜の燐脂質から, アラキドン酸カスケードを介して新たに産生遊離されるスロンボキサン, プロスタグランディン, ロイコトリエン, PAF(platelete activating factor)などがある.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.13.99