上顎側方拡大に伴う片側性唇顎口蓋裂患者の口蓋裂術後凄孔の変化
歯科矯正科を受診する唇顎口蓋裂患者の大多数に, 上顎歯列の前方および側方の狭窄がみられ, 治療に際しては上顎歯列の拡大は不可欠である.この場合, 口蓋裂術後痩孔を有する患者では, 上顎拡大に伴い痩孔もまた開大することが臨床的に経験されている.しかしながら, この問題に関する報告や研究はほとんどみあたらない.そこで著者らは臨床的資料を用い, 上顎側方拡大に伴う片側性唇顎口蓋裂患者の痩孔の大きさおよび形態の変化について検討を行った. 資料には, 上顎側方拡大を行った片側性唇顎口蓋裂患者16例の拡大前後の上顎石膏模型と, このうち10例の上顎オクルーザルX線写真を用いた.これら資料より, 口蓋と痩孔...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 172 - 180 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
1982
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.7.2_172 |
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Summary: | 歯科矯正科を受診する唇顎口蓋裂患者の大多数に, 上顎歯列の前方および側方の狭窄がみられ, 治療に際しては上顎歯列の拡大は不可欠である.この場合, 口蓋裂術後痩孔を有する患者では, 上顎拡大に伴い痩孔もまた開大することが臨床的に経験されている.しかしながら, この問題に関する報告や研究はほとんどみあたらない.そこで著者らは臨床的資料を用い, 上顎側方拡大に伴う片側性唇顎口蓋裂患者の痩孔の大きさおよび形態の変化について検討を行った. 資料には, 上顎側方拡大を行った片側性唇顎口蓋裂患者16例の拡大前後の上顎石膏模型と, このうち10例の上顎オクルーザルX線写真を用いた.これら資料より, 口蓋と痩孔の投影面積, 口蓋の骨欠損部の面積および痩孔の長径と幅径を計測し検討を行った. これにより以下の結果を得た. 1.上顎側方拡大により, 痩孔は全て開大した. 2.口蓋拡大率と痩孔開大率の間には, 有意の正の相関がみられた. 3.口蓋の骨欠損率と痩孔開大率の間には, 有意の正の相関がみられた. 4.上顎側方拡大により, 痩孔の形態は全て変化した. 5.痩孔の形態はより側方に拡がる症例が多かったが, 拡大前に丸い形態の痩孔はより前後的に拡がる傾向がみられた. |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.7.2_172 |