加圧溶媒抽出法を用いた路上粉塵中多環芳香族炭化水素(PAHs)の抽出溶媒の最適化とPAHs組成への影響

加圧溶媒抽出(PSE)法を用いて道路面堆積粉塵(路上粉塵)から多環芳香族炭化水素(PAHs)を抽出するための抽出溶媒を検討した.既報や公定法で多用されるトルエンとジクロロメタンをベースとなる抽出溶媒とし,補助溶媒としてメタノールの添加割合を0~50% の範囲で変えて抽出を行い,PAHsをガスクロマトグラフィー─質量分析法(GC-MS)で測定した.測定結果の比較から,トルエン100% のときにPAHsの抽出効率が最大で,夾きょう雑物の混入量を最も低く抑えられることが分かった.既報で報告された補助溶媒の添加による抽出効率の向上は認められなかった.ジクロロメタンでもメタノール添加の場合に最良の結果を...

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Published in分析化学 Vol. 65; no. 4; pp. 193 - 201
Main Authors 熊田, 英峰, 青木, 元秀, 親松, 和紘, 梅村, 知也, 内田, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2016
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.65.193

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Summary:加圧溶媒抽出(PSE)法を用いて道路面堆積粉塵(路上粉塵)から多環芳香族炭化水素(PAHs)を抽出するための抽出溶媒を検討した.既報や公定法で多用されるトルエンとジクロロメタンをベースとなる抽出溶媒とし,補助溶媒としてメタノールの添加割合を0~50% の範囲で変えて抽出を行い,PAHsをガスクロマトグラフィー─質量分析法(GC-MS)で測定した.測定結果の比較から,トルエン100% のときにPAHsの抽出効率が最大で,夾きょう雑物の混入量を最も低く抑えられることが分かった.既報で報告された補助溶媒の添加による抽出効率の向上は認められなかった.ジクロロメタンでもメタノール添加の場合に最良の結果を与えたが,トルエンと比較して高分子量のPAHsの測定値が低くなる傾向が認められた.抽出に用いるベース溶媒によって僅かながら複数のPAHsの異性体比に差が認められた.PAHs異性体比は起源識別や動態解析の有力な指標として利用されるが,本研究の結果から,抽出条件によって異性体比が変化する可能性を考慮する必要があることが示された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.65.193