我々にとって国立公園とは何なのか? : 地域制自然公園の意義と可能性(林業経済学会2014年春季大会論文)

本稿は,日本における地域制自然公園制度について,その意義を,地域において持続的な自然資源管理を実現させるための戦略的ツールであるとする立場から,望ましい制度への転換を提言することを最終目的としている。国立公園制度が持つ主要な機能の検討,およびヨーロッパ主要国の地域制自然公園制度との比較からは,日本の制度が「転用規制」,「内部制御」という地域制自然公園制度の主要な2機能の何れにおいても十分な機能を持っていないことが再確認された。一方,アメリカにおける地域制自然公園,アディロンダック州立公園とケープコッド国立海岸公園の検討からは,私権が強く土地利用規制の制度が整っていない米国においても,地域制自然...

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Published in林業経済研究 Vol. 60; no. 2; pp. 1 - 12
Main Author 土屋, 俊幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 林業経済学会 2014
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ISSN0285-1598
2424-2454
DOI10.20818/jfe.60.2_1

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Summary:本稿は,日本における地域制自然公園制度について,その意義を,地域において持続的な自然資源管理を実現させるための戦略的ツールであるとする立場から,望ましい制度への転換を提言することを最終目的としている。国立公園制度が持つ主要な機能の検討,およびヨーロッパ主要国の地域制自然公園制度との比較からは,日本の制度が「転用規制」,「内部制御」という地域制自然公園制度の主要な2機能の何れにおいても十分な機能を持っていないことが再確認された。一方,アメリカにおける地域制自然公園,アディロンダック州立公園とケープコッド国立海岸公園の検討からは,私権が強く土地利用規制の制度が整っていない米国においても,地域制自然公園としての機能を充実させることが可能なことが示唆された。日本の国立公園の将来像としては,米国の地域制自然公園の「実験」を参考とし,「特区」として機能するように制度を強化していくことが求められている。
ISSN:0285-1598
2424-2454
DOI:10.20818/jfe.60.2_1