コガタアカイエカ類の生態の研究 : 1. コガタアカイエカの吸血行動の日周性

コガタアカイエカCulex tritaeniorhynchus summorosusの行動習性に関する観察を1967〜68年夏岡山県倉敷市の干拓地を中心に行つた.そして吸血行動の日周性を中心に, 以下の様な成績を得た.1)豚体上で吸血する蚊の時間的消長コガタアカイエカは夜間を通じて平均的に吸血していたが, 21時と2時半頃に弱い峯が認められた.7月中旬に5才雌豚1頭が1晩に約5万匹のコガタアカイエカに吸血されていた.吸血部位別に見ると, コガタアカイエカはどこでも平均的に吸血していたがシナハマダラカは背面, 側面には極めて少なかつた.2)人を刺す蚊の日周性コガタアカイエカについては豚の場合と大...

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Published in衛生動物 Vol. 20; no. 1; pp. 21 - 26
Main Author 和田, 芳武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 1969
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.20.21

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Summary:コガタアカイエカCulex tritaeniorhynchus summorosusの行動習性に関する観察を1967〜68年夏岡山県倉敷市の干拓地を中心に行つた.そして吸血行動の日周性を中心に, 以下の様な成績を得た.1)豚体上で吸血する蚊の時間的消長コガタアカイエカは夜間を通じて平均的に吸血していたが, 21時と2時半頃に弱い峯が認められた.7月中旬に5才雌豚1頭が1晩に約5万匹のコガタアカイエカに吸血されていた.吸血部位別に見ると, コガタアカイエカはどこでも平均的に吸血していたがシナハマダラカは背面, 側面には極めて少なかつた.2)人を刺す蚊の日周性コガタアカイエカについては豚の場合と大差はなかつた.そしてシナハマダラカ, アカイエカ, オオクロヤブカとの日周性の差が示された.3.ドライアイス誘引での時間的消長誘引源からの距離を変えて設置したベニヤ板上の休止蚊数は, 20〜21時と1〜3時の2度に増加し, 3時以後急減した.又, ハエトリリボンを用いて休止蚊を採集した場合は, 20〜21時と2〜3時に多くとれた.これは共に飛来する蚊は21時頃と2時頃に多いことを示しており吸血の日周性よりはるかに鋭い峯であつた.休止蚊密度と誘引源からの距離は反比例の関係をもつていた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.20.21