聴覚路病変を伴う小脳脳幹型副腎白質ジストロフィーの一例

副腎白質ジストロフィーはさまざまな臨床病型に分類される.その中で小脳・脳幹型は頻度がまれである上に症状や画像が脊髄小脳変性症と似ており,診断が難しい.我々は脊髄小脳変性症として経過観察を行い,最終的に小脳・脳幹型の副腎白質ジストロフィーと診断した症例を報告する.彼は成人後精神症状が出現して精神科かかりつけとなり,その後歩行障害が出現したために当院の脳神経内科を受診した.初回のMRIでは小脳と橋の萎縮や,中大脳脚や脳梁,視床下後方,中脳外側など様々な部位にT2強調像で異常信号を認めた.SCDとして経過観察中に,症状やMRI所見の増悪が出現したために再度精査を行い,副腎白質ジストロフィーと診断した...

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Published in天理医学紀要 Vol. 27; no. 1; pp. 33 - 39
Main Authors 野田, 敏行, 弓削, 瞬介, 横田, 悠介, 安尾, 俊祐, 今枝, 政喜, 安村, 純佳, 新出, 明代, 谷口, 尚範, 中村, 悠理, 齋藤, 亜矢子, 金尾, 昌太郎, 金, 賢真, 川瀨, 貫互, 大久保, 豪祐, 南, 暁彦, 久保, 武, 末長, 敏彦, 鈴木, 瑞恵, 山下, 直生, 太田, 理恵, 野間, 惠之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2024
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.27-009

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Summary:副腎白質ジストロフィーはさまざまな臨床病型に分類される.その中で小脳・脳幹型は頻度がまれである上に症状や画像が脊髄小脳変性症と似ており,診断が難しい.我々は脊髄小脳変性症として経過観察を行い,最終的に小脳・脳幹型の副腎白質ジストロフィーと診断した症例を報告する.彼は成人後精神症状が出現して精神科かかりつけとなり,その後歩行障害が出現したために当院の脳神経内科を受診した.初回のMRIでは小脳と橋の萎縮や,中大脳脚や脳梁,視床下後方,中脳外側など様々な部位にT2強調像で異常信号を認めた.SCDとして経過観察中に,症状やMRI所見の増悪が出現したために再度精査を行い,副腎白質ジストロフィーと診断した.視床や中脳の異常信号はそれぞれ内側膝状体や下丘腕に相当すると考える.それらは聴覚路を構成しており,副腎白質ジストロフィーの画像評価法であるLoes scoreの評価項目の一つである.両側聴覚路の異常信号を認識することがX-ALDの正確な診断の助けになる可能性がある.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.27-009