HEART's Original [症例] 一過性心筋虚血に合併した限局性右心室瘤の1例

症例は72歳,女性.2004年7月,突然の胸痛が出現し30分持続した. 近医にて心筋逸脱酵素の軽度上昇を認め,急性心筋梗塞と診断され保存的加療を受けた.しかし,その後心不全を合併し5日後に入院.入院時心臓超音波検査にて左心室下壁の運動低下を認めたが,入院第9病日に施行した冠動脈造影検査では有意狭窄なく,左心室造影でも壁運動異常なく,冠攣縮により心筋梗塞を発症したと考えられた.その後特に症状なく経過したが,2年後の心臓超音波検査にて右心室下壁に径2cm大の限局した心室瘤を認めた.右心室瘤は著しいdyskinesisを呈し,破裂の危険性が高いため手術適応と判断し,開心術を施行.心膜と右心室には癒着...

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Published in心臓 Vol. 39; no. 12; pp. 1085 - 1090
Main Authors 平川, 晴久, 堀内, 正孝, 稲留, 直樹, 安増, 十三也, 村岡, 秀崇, 村里, 嘉信, 安藤, 廣美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2007
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.39.12_1085

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Summary:症例は72歳,女性.2004年7月,突然の胸痛が出現し30分持続した. 近医にて心筋逸脱酵素の軽度上昇を認め,急性心筋梗塞と診断され保存的加療を受けた.しかし,その後心不全を合併し5日後に入院.入院時心臓超音波検査にて左心室下壁の運動低下を認めたが,入院第9病日に施行した冠動脈造影検査では有意狭窄なく,左心室造影でも壁運動異常なく,冠攣縮により心筋梗塞を発症したと考えられた.その後特に症状なく経過したが,2年後の心臓超音波検査にて右心室下壁に径2cm大の限局した心室瘤を認めた.右心室瘤は著しいdyskinesisを呈し,破裂の危険性が高いため手術適応と判断し,開心術を施行.心膜と右心室には癒着はなく,瘤は線維化搬痕組織様であり,Dor手術に準じたパッチを用いた瘤切除術を施行した.われわれは,冠攣縮が原因と思われる右心室下壁に限局した心室瘤の症例を経験した.非常に稀な疾患であり報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.39.12_1085