症例 慢性肺血栓・塞栓症の2症例

今回,我々は興味ある慢性肺血栓・塞栓症の2例を経験した.症例1は48歳の男性で,労作時呼吸困難を主訴として入院.検査所見から症状増悪時に一致して,フィブリノーゲン値の上昇がみられた.その都度,血栓溶解療法に加えて,脱線維素療法を施行することで,フィブリノーゲン値を低下させ症状の安定化をみた.症例2は61歳の男性で,労作時の息切れを主訴として入院種々の治療にもかかわらず入院第23病日に死亡した.剖検所見で原発巣は不明であったが,腫瘍が肺動脈の基幹部から左右肺血管に充満しており,病理組繊学的所見からchondrosarcomaと診断した.前者はその治療上,後者は剖検上,極めて興味ある所見が得られた...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 20; no. 10; pp. 1251 - 1258
Main Authors 舟山, 直樹, 堀本, 和志, 宮川, 明, 上田, 満, 五十嵐, 丈記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1988
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.20.10_1251

Cover

More Information
Summary:今回,我々は興味ある慢性肺血栓・塞栓症の2例を経験した.症例1は48歳の男性で,労作時呼吸困難を主訴として入院.検査所見から症状増悪時に一致して,フィブリノーゲン値の上昇がみられた.その都度,血栓溶解療法に加えて,脱線維素療法を施行することで,フィブリノーゲン値を低下させ症状の安定化をみた.症例2は61歳の男性で,労作時の息切れを主訴として入院種々の治療にもかかわらず入院第23病日に死亡した.剖検所見で原発巣は不明であったが,腫瘍が肺動脈の基幹部から左右肺血管に充満しており,病理組繊学的所見からchondrosarcomaと診断した.前者はその治療上,後者は剖検上,極めて興味ある所見が得られたので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.20.10_1251