小児難治性誤嚥に対する喉頭気管分離術

難治性誤嚥があり肺炎を繰り返す小児10例に喉頭気管分離術を施行した.全例喉頭側気管断端を頸部食道前壁に端側吻合した.対象となった疾患,術前の気管切開の有無,術前の嚥下状態,栄養摂取状態,術後合併症について検討を行った.疾患は低酸素脳症が70%と多く,続いて脳炎,脳腫瘍であった.術前に気管切開は40%ですでに施行されていた.術後全例嚥下性肺炎は無くなった.全身状態の改善に伴い1例は経口のみでの栄養管理が可能となった.術後の摂食状況は原疾患の改善と関連がある.一般に報告されている縫合不全の合併症は1例もなく,気管孔と食道の間の死腔を血流のよい前頸筋や甲状腺組織で確実に充填することが重要と考えられた...

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Published in小児耳鼻咽喉科 Vol. 29; no. 3; pp. 83 - 86
Main Authors 小宗, 静男, 安達, 一雄, 松原, 尚子, 梅崎, 俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2008
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi1980.29.3_83

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Summary:難治性誤嚥があり肺炎を繰り返す小児10例に喉頭気管分離術を施行した.全例喉頭側気管断端を頸部食道前壁に端側吻合した.対象となった疾患,術前の気管切開の有無,術前の嚥下状態,栄養摂取状態,術後合併症について検討を行った.疾患は低酸素脳症が70%と多く,続いて脳炎,脳腫瘍であった.術前に気管切開は40%ですでに施行されていた.術後全例嚥下性肺炎は無くなった.全身状態の改善に伴い1例は経口のみでの栄養管理が可能となった.術後の摂食状況は原疾患の改善と関連がある.一般に報告されている縫合不全の合併症は1例もなく,気管孔と食道の間の死腔を血流のよい前頸筋や甲状腺組織で確実に充填することが重要と考えられた.喉頭気管分離術は難治性誤嚥のある小児に対し安全,かつ積極的に勧められる手術であると思われた.
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi1980.29.3_83