症例 55歳まで無症状に経過した左室右房交通症の1例

左心室から右心房へ直接短絡を有する左室右房交通症を経験したので報告した. 症例は55歳女性で小学1年の頃より心雑音を指摘されたが,自覚症状がないので放置していた.55歳時にUCGにて心室中隔欠損症および中隔瘤が疑われ,心精査を目的に当科を紹介された.左室造影所見よりI型の左室右房交通症および右房内に広がる後方型の膜様部中隔瘤の合併と診断した.左室右房交通症および中隔瘤の自然歴はいまだに明らかではないが,本症では生下時に存在していた膜様部中隔の欠損が生後中隔がなおも発育し続ける過程で高い左室圧を受け,左室右房交通口を有する中隔瘤を形成したものと考えた.本症例では自覚症状がほとんどなく,心機能が良...

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Published in心臓 Vol. 18; no. 12; pp. 1468 - 1472
Main Authors 肥田, 敏比古, 土井尻, 健一, 小野寺, 龍彦, 武田, 真, 加藤, 政孝, 大沢, 浩, 中村, 元行, 瀬川, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1986
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.18.12_1468

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Summary:左心室から右心房へ直接短絡を有する左室右房交通症を経験したので報告した. 症例は55歳女性で小学1年の頃より心雑音を指摘されたが,自覚症状がないので放置していた.55歳時にUCGにて心室中隔欠損症および中隔瘤が疑われ,心精査を目的に当科を紹介された.左室造影所見よりI型の左室右房交通症および右房内に広がる後方型の膜様部中隔瘤の合併と診断した.左室右房交通症および中隔瘤の自然歴はいまだに明らかではないが,本症では生下時に存在していた膜様部中隔の欠損が生後中隔がなおも発育し続ける過程で高い左室圧を受け,左室右房交通口を有する中隔瘤を形成したものと考えた.本症例では自覚症状がほとんどなく,心機能が良好に保たれていることより手術を施行せずに内科的に経過をおっている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.18.12_1468