症例 肥大型閉塞性心筋症に左単冠状動脈を合併した1例

単冠状動脈と心筋症との合併は,非常にまれである.これまでに文献上12例の報告をみるにすぎず,そのうち11例はうっ血型心筋症との合併であり,肥大型心筋症との合併は1例のみである.症例は30歳女性,健診にて心雑音,心肥大,心電図での異常Q波(I,aVL,V4-6)を指摘され,精査目的にて入院した.心エコー図にてASH(IVST/LVPWT1.50)とSAMを有する特徴的な肥大型心筋症像を示し,左心カテーテルで,安静時左室内圧較差70mmHg,左室造影ではいわゆるバナナ型像を認めた.組織学的にも心筋線維肥大が認められ,肥大型閉塞性心筋症と診断した.さらに選択的冠動脈造影上,Smith II型の左単冠...

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Published in心臓 Vol. 14; no. 11; pp. 1387 - 1393
Main Authors 堀越, 茂樹, 蛯名, 勝仁, 中村, 嘉孝, 柴田, 泉, 橋本, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1982
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.14.11_1387

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Summary:単冠状動脈と心筋症との合併は,非常にまれである.これまでに文献上12例の報告をみるにすぎず,そのうち11例はうっ血型心筋症との合併であり,肥大型心筋症との合併は1例のみである.症例は30歳女性,健診にて心雑音,心肥大,心電図での異常Q波(I,aVL,V4-6)を指摘され,精査目的にて入院した.心エコー図にてASH(IVST/LVPWT1.50)とSAMを有する特徴的な肥大型心筋症像を示し,左心カテーテルで,安静時左室内圧較差70mmHg,左室造影ではいわゆるバナナ型像を認めた.組織学的にも心筋線維肥大が認められ,肥大型閉塞性心筋症と診断した.さらに選択的冠動脈造影上,Smith II型の左単冠状動脈を認めた.単冠状動脈は,本質的に心筋虚血を招きやすく,特に心筋症との合併で心筋の線維化,変性,萎縮,壊死を助長し,うっ血型心筋症像を呈しやすい.本例は,肥大型閉塞性心筋症像を示し,この点について文献的に考察した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.14.11_1387