症例 右心不全を主徴とした慢性心筋炎の1剖検例
症例は68歳(死亡時)女性,初診(63歳)時は一過性左前胸部痛を主訴とし心電図変化・左室造影所見等より心膜心筋炎と診断した.以後心電図上の右軸偏位・胸部誘導のR波減高,胸部X線上の心拡大,心エコー図上の右室径増大が進行,その間血液学的炎症所見はなく,患者は著明な右心不全・重篤な不整脈を呈し5年半の経過で死亡した.剖検で左心室心筋に明らかな炎症像はなく心外膜側に広範な線維化を認めた.右心室は心筋のほぼ完全な脱落・線維化および一部に活動性炎症像を呈し慢性心筋炎と診断した.著明な右心不全は右心室自由壁心筋のほぼ完全な脱落・線維置換による右心室の拘束性心筋症(restrictive cardiomyo...
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          | Published in | 心臓 Vol. 14; no. 11; pp. 1394 - 1399 | 
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| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益財団法人 日本心臓財団
    
        25.11.1982
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| Subjects | |
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| ISSN | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI | 10.11281/shinzo1969.14.11_1394 | 
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| Summary: | 症例は68歳(死亡時)女性,初診(63歳)時は一過性左前胸部痛を主訴とし心電図変化・左室造影所見等より心膜心筋炎と診断した.以後心電図上の右軸偏位・胸部誘導のR波減高,胸部X線上の心拡大,心エコー図上の右室径増大が進行,その間血液学的炎症所見はなく,患者は著明な右心不全・重篤な不整脈を呈し5年半の経過で死亡した.剖検で左心室心筋に明らかな炎症像はなく心外膜側に広範な線維化を認めた.右心室は心筋のほぼ完全な脱落・線維化および一部に活動性炎症像を呈し慢性心筋炎と診断した.著明な右心不全は右心室自由壁心筋のほぼ完全な脱落・線維置換による右心室の拘束性心筋症(restrictive cardiomyopathy)類似の病態によるものと考えた.さらに右心室拡張に伴う三尖弁閉鎖不全は右心不全を強調したと思われた.本例は心膜炎に心筋炎を合併した症例と思われ,その間血液学的所見がなく,また右心不全を主体とする特異な病態を示した点が注目された. | 
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI: | 10.11281/shinzo1969.14.11_1394 |