進行病期マントル細胞リンパ腫と結核性胸水の同時発症

症例は70代後半の男性,病期IV のマントル細胞リンパ腫と左優位の胸水を同時発症した.リンパ節生検では,中型細胞がびまん性に増殖し,免疫染色では,腫瘍細胞はCD5,CD20,CD79a,BCL2,サイクリンD1,SOX11 陽性,CD3,CD10陰性であった.染色体・FISH検査で t(11;14)(q13;q32)/IGH::CCND1転座を認め,IGHV 遺伝子はminimally mutatedであった.リンパ腫病変は,全身リンパ節,脾臓,膵頭部,胃,十二指腸,骨髄に認められた.ベンダムスチンとリツキシマブを 1 サイクル,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,リツキシマブ...

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Published in天理医学紀要 Vol. 26; no. 2; pp. 99 - 109
Main Authors 前川, ふみよ, 小谷, 槙一, 大野, 仁嗣, 岸森, 千幸, 林田, 雅彦, 稲尾, 崇, 阿部, 教行, 住吉, 真治, 福塚, 勝弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2023
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.26-013

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Summary:症例は70代後半の男性,病期IV のマントル細胞リンパ腫と左優位の胸水を同時発症した.リンパ節生検では,中型細胞がびまん性に増殖し,免疫染色では,腫瘍細胞はCD5,CD20,CD79a,BCL2,サイクリンD1,SOX11 陽性,CD3,CD10陰性であった.染色体・FISH検査で t(11;14)(q13;q32)/IGH::CCND1転座を認め,IGHV 遺伝子はminimally mutatedであった.リンパ腫病変は,全身リンパ節,脾臓,膵頭部,胃,十二指腸,骨髄に認められた.ベンダムスチンとリツキシマブを 1 サイクル,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,リツキシマブを 1 サイクル実施したところ表在リンパ節腫脹は縮小したが,胸水は改善しなかった.胸水から作製したZeel-Neelsen染色塗抹標本の顕微鏡検査でごく少数の抗酸菌を認め,結核菌のPCR検査が陽性であった.リファンピシン,イソニアジド,ピラジナミド,エタンブトールによる抗結核治療を実施したところ胸水は速やかに消失した.初診から5年経過したが、マントル細胞リンパ腫と胸水のいずれも再発を認めない.悪性リンパ腫患者は結核を発症するリスクが高いので,リンパ腫に胸水を伴った場合は,必ずしも腫瘍性胸水ではないことに留意する必要がある.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.26-013