ダニアレルギー児の喘息コントロールに対する布団丸洗い効果

背景: 日本では屋内塵のダニがアレルゲンとして最も重要である.布団を丸洗いするとダニアレルゲンは減少する. そこでダニアレルギー児の布団を丸洗いすることによって喘息コントロールに影響するかどうかを検討した. 方法: この研究は無作為割り付けのコントロール研究ではなく,疫学的な調査である.2013年3月/4月にダニアレルギーのある喘息児10 人の布団を微温湯で丸洗いし,熱風で乾燥させた(active群).一方,ダニアレルギーのある喘息児で布団を丸洗いしないcontrol群9人を選んだが,2人が脱落した.布団の中から吸塵し,ダニアレルゲンであるDer 1 (Der p1+Der f1) をELIS...

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Published in天理医学紀要 Vol. 19; no. 1; pp. 11 - 17
Main Authors 南部, 光彦, 桂, 禎邦, 前田, 親男, 白井, 秀治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 2016
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.19-002

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Summary:背景: 日本では屋内塵のダニがアレルゲンとして最も重要である.布団を丸洗いするとダニアレルゲンは減少する. そこでダニアレルギー児の布団を丸洗いすることによって喘息コントロールに影響するかどうかを検討した. 方法: この研究は無作為割り付けのコントロール研究ではなく,疫学的な調査である.2013年3月/4月にダニアレルギーのある喘息児10 人の布団を微温湯で丸洗いし,熱風で乾燥させた(active群).一方,ダニアレルギーのある喘息児で布団を丸洗いしないcontrol群9人を選んだが,2人が脱落した.布団の中から吸塵し,ダニアレルゲンであるDer 1 (Der p1+Der f1) をELISAで測定した. 結果: 2013年3月/4月にDer 1量が100 ng/m 2 以上であったactive群の5人は全員,布団のDer 1 量が2013 年7月/8月には減少し,そのうち4人で長期管理薬をステップダウンすることができた. Active群7人の布団のDer 1 量は2013年3月/4月に比べ,2014年3月/4月には減少していた.この1年間の経過で,長期管理薬はactive群の8人でステップダウン,2人は同じ,一方,control群では3人がステップダウン,1人が同じ,3人がステップアップした(P = 0.119;Fisher の直接確率計算法で有意差).2013年3月/4月,7月/8月,11月/12月,2014年3月/4月の長期管理薬の治療スコアの経過についてFriedman検定を行うと,active群では有意差があり(P= 0.001),control群では有意差がなかった(P= 0.996). 結論: ダニアレルギーの喘息児において,布団丸洗い効果が認められた.布団丸洗いは簡単ではないが,ダニ対策 として有効な方法の1つである可能性がある.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.19-002