p230 μ-BCR-ABL1融合遺伝子を認めたフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病の一例

症例は70代女性.白血球増多のため紹介受診した.白血球数は33.87 × 103/μLで,白血病細胞が80.5%を占めた.骨髄はペルオキシダーゼ陰性の芽球で置換され,それらはCD10+/−, CD19+, CD20−, CD13+, CD33−/dim, CD34+, CD117−/dim, CD66c+/−, 細胞質(cy-) CD79a+, TdT+, cy-IGHM−であった.Gバンディング核型は46,XX,t(9;22)(q34;q11.2)で,付加的異常は認めなかった.Reverse transcriptase polymerase chain reaction (PCR)とシークエ...

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Published in天理医学紀要 Vol. 25; no. 1; pp. 29 - 40
Main Authors 竹岡, 加陽, 前川, ふみよ, 飯岡, 大, 右京, 直哉, 大野, 仁嗣, 高橋, 陸, 茶木, 善成, 林田, 雅彦, 倉村, あい美, 中川, 美純, 中川, 美穂, 福塚, 勝弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2022
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.25-006

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Summary:症例は70代女性.白血球増多のため紹介受診した.白血球数は33.87 × 103/μLで,白血病細胞が80.5%を占めた.骨髄はペルオキシダーゼ陰性の芽球で置換され,それらはCD10+/−, CD19+, CD20−, CD13+, CD33−/dim, CD34+, CD117−/dim, CD66c+/−, 細胞質(cy-) CD79a+, TdT+, cy-IGHM−であった.Gバンディング核型は46,XX,t(9;22)(q34;q11.2)で,付加的異常は認めなかった.Reverse transcriptase polymerase chain reaction (PCR)とシークエンシングの結果,融合遺伝子はBCRのexon 19とABL1のexon 2が接合し,p230 micro (μ)-BCR-ABL1をコードしていた. 第2世代のチロシンキナーゼ阻害剤であるダサチニブと低強度の化学療法(ビンクリスチンおよびデキサメタゾン)を組み合わせた寛解導入療法に続いて強化療法を実施したところ,血液学的な完全奏効(CR)に至った.LightCycler®を基盤としたリアルタイム定量的PCRを構築し寛解状態を評価したところ,白血病細胞は10−4レベルに減少していた.ダサチニブに続いてポナチニブによる維持療法を継続し,2年8か月間血液学的CRを維持している.p230 μ-BCR-ABL1は慢性骨髄性白血病にまれに認められ,やや緩徐な臨床経過をとるとされているが,前駆B細胞の免疫形質を示すフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)にも認められることが明らかになった.ダサチニブを基本薬とした寛解導入療法・強化療法・維持療法は,p190 minor-/p210 major-BCR-ABL1 Ph+ ALLと同様に,p230 μ-BCR-ABL1 Ph+ ALLにも有効である.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.25-006