膀胱原発MALTリンパ腫の一例

膀胱原発MALTリンパ腫と診断された64歳女性の症例を報告する.健康診断での腹部CTで膀胱腫瘍を指摘され当院を受診した.自覚症状はなく,血液,尿検査でも特記すべき所見は認めなかった.造影CTでは膀胱後壁に均一な造影効果のある辺縁平滑で広基性に内腔に突出する腫瘍を2つ認め,MRIではそれぞれT2WIで軽度高信号,強い拡散制限を認めた.膀胱鏡では粘膜下腫瘍を疑う所見であったが,MRIの矢状断では腫瘍の1つは有茎性にも見え,粘膜下腫瘍との判断は困難であった.MRIで強い拡散制限を呈していたことから膀胱癌を疑いtransurethral resection of the bladder tumorが施...

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Published in天理医学紀要 Vol. 28; no. 1; pp. 34 - 41
Main Authors 池田 明央, 山崎 佳大, 太田 理恵, 小谷 槙一, 川瀨 貫互, 弓削 瞬介, 大久保 豪祐, 山下 直生, 鈴木 瑞恵, 野間 惠之, 横田 悠介, 谷口 尚範, 久保 武, 金尾 昌太郎, 齋藤 亜矢子, 小林 昂介, 金森 直美, 羽賀 すみれ, 今枝 政喜, 住吉 真治, 金 賢真, 中村 悠理
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 2025
Subjects
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.28-003

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Summary:膀胱原発MALTリンパ腫と診断された64歳女性の症例を報告する.健康診断での腹部CTで膀胱腫瘍を指摘され当院を受診した.自覚症状はなく,血液,尿検査でも特記すべき所見は認めなかった.造影CTでは膀胱後壁に均一な造影効果のある辺縁平滑で広基性に内腔に突出する腫瘍を2つ認め,MRIではそれぞれT2WIで軽度高信号,強い拡散制限を認めた.膀胱鏡では粘膜下腫瘍を疑う所見であったが,MRIの矢状断では腫瘍の1つは有茎性にも見え,粘膜下腫瘍との判断は困難であった.MRIで強い拡散制限を呈していたことから膀胱癌を疑いtransurethral resection of the bladder tumorが施行されたが,病理結果はMALTリンパ腫であった.膀胱外の病変確認目的に撮像されたFDG-PET/CTでは,膀胱以外にリンパ腫病変を疑う有意な集積は認めなかったが,術後の病変部位には残存病変を疑う尿よりも強いFDGの集積を認めた.CT, MRIでは膀胱癌との鑑別は容易ではない.が,もし本症例の病変部位に認めた強いFDGの集積が残存病変によるものであれば,膀胱鏡とFDG-PET/CT所見の組み合わせ,また病変が複数存在することは本疾患の診断の一助になる可能性がある.膀胱原発MALTリンパ腫におけるFDG-PETの有用性についてはさらなる研究が望まれる.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.28-003